弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年4月 2日

原発と憲法9条

社会

著者  小出 裕章 、 出版  遊絲社

明快です。とても分かりやすくて、驚いてしまいました。原発について、少しは分かっているつもりでしたが、この本を読んで、本当に頭がすっきりしました。さすがに専門家は違います。それも「原発ムラ」と長年たたかってきた気骨ある学者ですので、明瞭そのものです。あざやかというほかないほどの明快さなのです。
 原子力は安全ではない。少なくとも都会では引き受けられない巨大な危険を抱えている。そのことを原子力ムラが知っていたからこそ、原子力発電所は過疎地につくった。
そして、原子力は安価でもない。現在進行形の事故処理は膨大なものになるのだから、安価なはずがない。
核分裂反応というのは、はじめから爆弾向けの現象だった。核分裂反応がもっている性質が、いちばん開花して、爆弾となった。
広島に落とされた原爆はウランで出来ていた。長崎に落とされた原爆はプルトニウムで出来ていた。プルトニウムという物質は、この世界にはひとつもない。一グラムもない。そういう物質である。
 石油は、残りはあと30年しかないとずっと言われ続けてきた。今も言われている。しかし、これからもそう言われるだろうということは石油は実は、まだまだあるということ。
 日本は「もんじゅ」にすでに1兆円もの大金を投入している。すなわち捨てているのだ。
 日本が現に持っているプルトニウムで長崎型の原爆が実に4000発もつくれる。日本が原子力をどうしてもあきらめない本当の理由は、核兵器をつくることにある。核兵器をつくるには、プルトニウムが必要になるからである。
 同じ言葉を、日本がやるときには原子力開発と呼び、イランがやると核開発という。これはマスコミの情報操作の一つである。
 原子力に反対する根本の理由は、自分だけがよくて危険だけを他人に押しつける社会が許さないから。電力を使うのは都会なのに、原子力発電所は都会にはつくらない。そして、原子力発電所で働く労働者は本当に底辺で苦しむ労働者が多い。
 わずか200頁の本ですが、たたかう団塊世代(私と同世代なのです)の著者から大いなる勇気をいただきました。ご一読をおすすめします。
(2012年5月刊。1400円+税)

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