弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年3月 2日

僕の死に方

人間

著者  金子 哲雄 、 出版  小学館

私はテレビを見ませんので、流通ジャーナリストとしてテレビによく出ていたらしい著者を見たことはありません。
 41歳で肺がん(肺カルチノイド)でなくなった著者が死の間際まで書き続けた本です。壮絶な、しかし、さわやかに明るい読後感のある本になっています。
 バリバリ仕事をしていた著者が長くせきに悩まされ、顔にむくみが出て、病院で検査してもらったところ、「末期の肺がんです」と宣告されたのでした。
 肺カルチノイドは、治療法のないタイプ。肺だけではなくすでに肝臓や骨などにも転移していた。肺の中に9センチ大の腫瘍があり、気管を圧迫している。いつ死んでもおかしくない。肺を全摘出することになったら、生きていくことはできない。
女性週刊誌の中吊りをよく見ると、役に立つ。中吊りの見出しは、編集部の知恵を結集させた、言うなれば「言葉のエリート」のもつ、数もスペースも限られた中で、どんな言葉で読者をひきつけるか、中吊りの見出しは、だからこそ時代をあらわす最大公約数といえる。
 朝や昼のテレビワイドショーは、女性視点でつくられている。午前8時前そして午後10時以降のニュースは、男性視点から番組がつくられている。
 牛肉の値段の高い安いが、その地域の商圏の経済力を端にあらわしている。その地域の経済力が高ければ当然、高い肉が売れる。田園調布なら100グラム800円。庶民の町では、100グラム298円。100グラム800円の牛肉を食べる人は、マンションも3LDK、8000万円くらいに住む。スーパーのお刺身が3点盛り398円には意味がある。
 週刊誌350円のなかに、芸能、事件ニュース、生活実用の3点をバランスよく盛り込む。すると、お得に感じてもらえる。そうでないと、350万円では高いという反応が返ってくる。
 このところ、タイムセールの1パック98円の卵を買うために、10時開店のスーパーに朝8時から行列ができる。その多くは年金生活者。これは景気の悪い証拠。景気のいいときは、行列ができても、開店30分前。
この10年、治療費を支払えない患者が急増している。
 著者は、自分の葬儀を全部、自分で準備したのです。信じられません。
葬儀の準備を自分でするなんて、あまりにも淡々と自分の死を受けとめているように思えるかもしれないが、がん宣告のあとは動揺が続いた。ここまでの気持ちになるまでには、ずいぶん時間がかかった。高野山大学大学院に入学したのも、そのせいだ。
 生きるか死ぬかについて真剣に学びたかった。正しい死に方を勉強したかった。
 がん宣告後の1週間は、ひたすら泣いた。
 死の恐怖から救い出してくれたのは、仕事だった。
 そうやって著者は、最後までテレビやラジオ、そして全国をかけまわっていたのでした。
 最後に、通夜・告別式の会葬礼状を著者本人が書いています。ここまで用意していたのです。
 今回、41歳で人生における早期リタイア制度を利用させていただくことに対し、感謝申し上げる。
 とあります。ユーモアも忘れないところがすばらしいですね。死の前日の日付になっています。とても読みごたえのある本でした。
(2013年1月刊。1300円+税)
 朝、雨戸を開けると、水仙の白い花(真ん中に黄色)が庭のあちこちに咲いているのが目に飛び込んできます。そして、白梅が花盛りです。なぜか紅梅は見劣りしています。
 チューリップの芽がぐんぐん伸びています。春に近さを実感します。
 そんな春ですが、花粉症には日夜、悩まされています。目はかゆいし、鼻は詰まるし、ティッシュ・ペーパーが手放せません。
 今年1月からヨーグルト(BB536入り)を250グラムずつ食べていて、花粉症予防になると思ってがんばったのですが、今年も発症してしまいました。
 めげずに仕事を続けています。

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