弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年6月15日

地球を活かす

社会

著者   伊藤  千尋  、 出版   シネ・フロント社

 市民が創る自然エネルギーというサブ・タイトルのついた、楽しくて、明るい展望の開ける本です。
 原発をなんとか再稼動させようという財界と民主・自民両党は、原発なくすのは、「自殺行為」だなどと国民を脅しています。決してそんなことはありません。
 世界60カ国を新聞記者として見分してきた著者は、たとえば地熱発電所を例にとって次のように紹介しています。
 アイスランドやコスタリカでは地熱発電がやられている。ところが、その技術は日本のもの。そして、実は日本でも大分に地熱発電所がある。このように、日本には技術があり、条件もある。あとは政府の方針だけ。ななのに、日本政府は原発にあくまで固執し、地熱発電所に目を向けようとしない。
 アイスランドに世界最大の露天風呂がある。なんとサッカー場より広い5000平方メートルもの広大さ。地熱発電所の余熱利用でつくられたもの。
 日本だって、このアイデアは活用できるはず。本当に、そのとおりだと思いました。なにしろ、地熱発電所ってまったく無公害発電そのものなのですから・・・・。
 日本できちんと地熱発電を開発したら2000万キロワット、つまり原発20基分の発電がまかなえる。
ドイツは3.11のあと早々に脱原発を決めた。そして、自然エネルギーを活用している。この自然エネルギーの分野で新たに生み出された雇用は37万人にのぼった。
 むひょう、だったら、日本でも早速とり入れたらいいですよね。財界と大企業のもうけは原発とちがって少なくなるかもしれませんが、そんなことはどうでもいいことですよね。
 オーストリアは1999年、憲法に原発をつくらない、つくっても使わないという条文を新しく盛り込んだ。原発をつくってしまったけれど、国民投票して原発可動に反対する人が50.5%出たからだ。すごいですよね。日本だったら、恐らく、せっかくつくった原発だからひとまず使ってみよう。そして具合が悪ければ止めようということになったことでしょう。ところが、スイスでは、つくったけれど、ここはキッパリ使うのをやめたというのです。
 イタリアでも、国民投票をやって原発再開反対が95%となって、脱原発が決まった。
 著者とは面識ありませんが、大学では私の一学年下だったようです。先日、講演会で話を聞きましたが、2時間にわたって、立ったまま立て板に水のたとえのとおり爽やかな弁舌で圧倒されました。思わず若いね、あなたは・・・とうなってしまいました。私も負けずにがんばろうと思います。
(2011年12月刊。1000円+税)

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