弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年5月15日

もうひとつのスーダン

世界(アフリカ)

川原 尚行・内藤 順司 著者 、主婦の友社 出版 
 福岡の出身で九大医学部を卒業した医師がアフリカの地、それも内戦まっただなかのスーダンでがんばっています。アフガニスタンでがんばっているペシャワール会の中村 哲医師と年齢こそ違いますが、あまりに共通点があるのに驚かされます。
 大判の写真集なのですが、スーダンの実情が表情豊かによく撮られています。どことなく物悲しさの感じられる少女の顔がアップでうつっています。この子たちの将来を奪ってはいけないと思わせます。
 川原医師は、初め日本外務省の職員として大使館勤めの医師でした。ところが、外務省を辞めて、スーダンでボランティアの医師として働いているのです。そして、日本に支援組織をたち上げました。まるでペシャワール会と同じです。川原医師を支える会はNPO法人ロシナンテスと言います。そうです、あのドン・キホーテの乗っていたロバの名前からとったものです。
 川原医師たちは、劣悪な水事情が下痢を招き、子どもたちの生命・健康を願っていることを憂えて老朽化がすすみ、水漏れがひどかった給水設備をリニューアルしました。良質な地下水が利用できるようになって、病気抑制の基となる水が確保されたのです。少女たちの喜ぶ笑顔が素晴らしい。村に学校をつくります。女の子が通える学校もつくりました。そして、母子保健に取り組みます。
 さらに、サッカーボールを日本から持ち込み、子どもたちにサッカーを教えます。日本人コーチを引っ張ってもきました。なんと、女子サッカーチームまでつくったのです。子どもたちに夢と希望を与えるって素晴らしいことですよね。
 子どもたちのはじける笑顔は、写真を眺めているほうの心まで幸せにしてくれます。子どもの笑顔は世界遺産に匹敵するほどの宝です。
 私もロシナンテスを応援します。この本を買って読むだけでも応援になるのです。あなたも、ぜひ買って読んで、眺めてみて下さい。
 
(2010年4月刊。2857円+税)

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