弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年1月21日

乱造される心の病

アメリカ

著者 クリストファー・レーン、 出版 河出書房新社

 「社会恐怖」が報道で大きく取り上げられるようになったのは、製薬業界が私たちの持つ恐怖心を巧みに操った結果であった。製薬会社に雇われているワシントンのロビイストは、国会議員よりも多く、2005年に製薬会社が抗うつ剤で得た収入は、アメリカ国内の販売だけでも125億ドルにのぼる。
 薬を売るなら、まず病気を売り込まないといけない。社会不安障害ほど、この言葉があてはまる疾患はない。社会不安障害は、1990年代には、内気、公衆トイレで排尿することに対する恐怖、おかしなことを言ってしまわないかという懸念などをすべて包含する疾患となった。パキシルはアメリカの抗うつ剤のベストセラーとなり、年間収益が20億ドルを上回った。
 毎年、5000人以上のアメリカ人がパキシルを使った治療を始めた。日本でも、パキシルの売り上げは2001年に120億円となり、以後、毎年、増加の一途をたどっている。今日、パキシルは全世界で年間270億ドルの売り上げを得ている。
 1996年に製薬会社は6億ドルを広告に使った。2000年には25億ドルに跳ね上がった。薬品関連のマーケティング費用の総額は250億ドルで、DTC広告費だけでも年間30億ドル。1日当たり1000万ドルの計算になる。
 パキシル・プロザック・ゾロフトなどは、プラセボ(偽薬)と比べて実はほんのわずかな効果しかない。研究者は、こうした薬をうつ病や不安の治療薬として承認すべきではないとしている。
 パキシルを服用する患者の25%は離脱時に深刻な問題に見舞われる。その70%が性欲の喪失などの副作用がある。しかし、それ以上に、腎不全、脳卒中、血栓、自傷、自殺のリスク増大などの深刻な問題がある。
 単なる内気を病気にしてしまったため、それを薬で治療しようとして、大変な問題を引き起こしているアメリカ社会の実情が描かれています。そして、そこで製薬会社だけはボロ儲けしています。
 社交的であることをあまりにも重んじたために、社交的でない人は薬で治療すべきだなんて、とんでもないことです。日本人もまきこまれているようです。
 私は基本的に薬は飲みません。風邪をひくことは滅多にありません(1年に1回あるかないかです)。寒気がしたら、卵酒を3日ほど夜寝る前に飲みます。すると、治ってしまいます。身体の自然治癒力を信じていますし、そのためには規則正しい生活と笑いのある生活、ストレス発散を心がけています。
 
(2009年8月刊。2000円+税)

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