弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年1月 1日

カワセミ

生き物(小鳥)

著者 福田 啓人、 出版 雷鳥社

 熊野古道のわたらせ温泉旅館(ささゆり)で早朝、カワセミに出会いました。久しぶりの邂逅です。空飛ぶ青い宝石という名前のとおり、輝くブルーでした。
大きさはスズメと同じ。青い背中、オレンジ色のお腹、赤い脚。とても鮮やかな色彩なので、見間違うことはない。構造色のため、光の当たり方や見る角度、周囲の景色で色が違って見えるので、一種の保護色である。
 構造色自体には色がなく、CDやシャボン玉、青空などと同じ。いつもは無色透明なのだが、光の干渉によって、さまざまな色彩に変化する。いつもは青色に見える背中が光の加減で宝石の翡翠色に見えることもある。そのため、感じで翡翠と書くといわれている。しかし、その逆に宝石の翡翠の名前はカワセミを見てつけられたとも言う。
 オスとメスは、くちばしの色で見分けられる。くちばしの下が黒いとオス、赤ければメス。
チーっという独特の鳴き声は、自転車のブレーキ音のように聞こえる。水面スレスレを直線的に飛び回り、スピードにのてくると、弾丸のような形に身体をすぼめ、さらにスピードを増すこともある。水辺の岩や木の枝に止まり、水中を観察し、魚影を見つけては補色を繰り返す。ときには水面の上空でホバリングをし、魚を見つけて水中に飛び込む。捕まえた魚は岩や木に叩きつけて丸のみする。
 小さいドジョウ、小エビ、小型のザリガニ、小さいカエルなど、水中生物で丸のみ出来そうなものなら何でも食べる。
カワセミの寿命は平均して2年。ただし、ドイツで15年生きたという記録もある。
カワセミの一生は一夫一婦制だが、絶対ではない。
カワセミの子育ては2週間ほど。その間にヒナは魚捕りを覚え、一人前に育ち、親のナワバリから追い出されてしまう。逆のこともある。
よくぞこんな写真が撮れたものだと思うほど、くっきり鮮明なカワセミの写真のオンパレードです。これほど素晴らしい写真をとるには、じっと我慢の日々が何日も何ヶ月間も続いたのではないでしょうか。その成果を、わずか1600円で見られるのですから、安いものです。
カワセミの百の生態写真として、大いに推奨します。

 
(2009年2月刊。1600円+税)

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