弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2009年7月30日

消費税によらない豊かな国ニッポンへの道

社会

著者 富山 泰一、 出版 あけび書房

 日本の常識は世界の非常識。この本を読むと、そのことがよく分かります。
税・社会保険負担の高い国は、社会的保障の充実しているところが多い。基本的に生活を保障されている国ほど、国民負担率は高く、企業も活性化している。税金が高くても、その見返りとしての生活保障が実行されていると、国民は高い税金を払うことに納得する。しかし、残念なことに、日本では負担が高いだけで、生活の安定が保証されていないため、政府を信頼できない。
 ヨーロッパの多くの国では、医療・教育そして介護は無料であり、失業給付も充実している。デンマークでは、失業給付は5年間、無年金者はいない。スウェーデンでは、子ども3人がいると、児童手当だけで家族5人全員の食費が賄える。
 そうなんです。日本でも、医療・介護そして教育をみんな無料(タダ)にすべきなのです。そのための税負担が高いのなら、私も文句は言いません。
 ムダな軍事費(実効性のないミサイル防衛に5000億円つかう。アメリカもムダだとしてやめたF22を50機、2兆円も出して買う…)、そして、九州新幹線やら道路、橋などの大型公共工事をやめたら、これは日本でも十分に可能なんです。
 ゼロ金利が続いている。1991年の利子収入がもし続いていたとしたら、2004年までに国民が失った利子収入は304兆円。一方、企業のほうは利子負担を260兆円も減らし、金融機関は95兆円も利子所得を増やしている。
 消費税を導入して20年経つ。なぜ消費税を提言したのか。高齢化社会を迎えるためと説明したが、本当は、そう言ったら一般の人が分かりやすいと思ったからだと、今さらになって政府関係者が正直に告白しています。とんでもないセリフです。
 イギリスの消費税は、標準税率こそ17.5%と、日本より3倍も高い。しかし、税率は3段階に分かれていて、家庭用燃料と電力は5%。そして、ゼロ税率は食料品、水道水、新聞、雑誌、医薬品、建築など、生活にかかわるものが含まれている。
 消費税が導入されてから企業が増やした内部留保額は、176兆円(1989年度)から411兆円(2006年度)と、236兆円も増えている。
 10億円以上の大企業は、増収増益であり、人件費などのカットにより、利益蓄積を増やしつづけている。そして、株主への配当が急増しているうえ、役員報酬が急激に増えている。役員報酬の一人当たり平均額は、日産自動車で3億円近く、ソニーは2億円あまり、住友商事は1億4000万円、コマツは1億3000万円、マツダも同じく1億3000万円、トヨタは1億2000万円。資本金10億円以上の大企業の役員報酬は、2004年から急増し、1995年と比べて2倍になっている。なんとなんと、これほどの超高給とりが、公務員の給料は高すぎるだなんて公言しているのですからね…。
 日本でも、所得が100億円を超えるのが9人、50~100億円が27人、20~50億円が92人もいる。しかし、逆に年収200万円以下の給与所得者は1220万人(2007年)。小泉内閣当時の234万人(2001年)の5倍以上に急増している。そして、正規雇用が454万人も減り、非正規雇用が490万人増えている。
 日本のあり方を大いに考えさせられる薄いパンフレット(140頁)でした。もっと知りたい、知らせたい、実に重たい内容がいっぱい詰まっています。
 
(2009年5月刊。1500円+税)

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