弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年5月23日

ミクロにひそむ不思議

著者:牛木辰男、甲賀大輔、出版社:岩波ジュニア新書
 いやあ、この世界は知れば知るほど、不思議と神秘にみちみちていますね。ミクロの世界が、これでもかこれでもかと次々に紹介されます。息を呑むような精巧かつ奇妙な構造にあふれているのです。ジュニア新書というのですから、一般には子ども向けのやさしい解説書のはずですが、おっとどっこい、大人の私たちにも大いに勉強になる写真集であり、これで800円、180頁ほどの新書版ですからたまりません。世の中の不思議を知りたい人に、一見、一読をおすすめします。
 顕微鏡をつかった解剖学を顕微解剖学という。顕微鏡というのも、光学顕微鏡、透過型顕微鏡、走査型電子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡などいろいろある。
 ミクロの世界なんて、さぞかし単純に出来ていると思われるだろうが、実はまったく逆で、そこには想像もできないような奇妙な構造があふれていて、しかも、そのどれもが精密きわまる構造をしている。
 たとえば、花粉です。実にさまざまな大きさや形をしています。花粉症の原因ともなるわけですが、それは人間の身体が粘膜に接触した花粉を洗い流そうとするための反応。過敏で過剰な反応を引き起こすのが花粉症である。
 実は、私も花粉症に悩まされている一人なのですが、塩水による鼻うがいを始めてから、すっかり症状が軽くなりました。薬を一切つかわずに、鼻うがいだけで対応しています。みなさんも一度試してみてください。
 アリ、ハチ、ハエ、カの頭部が紹介されています。なんだか、みんなよく似ています。こんな小さな生き物たちが、本当に精巧な造形物であることを知って、やっぱり神様なんていないな、と無神論者である私は思いました。ミクロの世界でこんなに精巧な造形物をつくる必然性が、全能の神様にあるとはとても思えない、という意味です。宗教を信じる人は逆に思うのかもしれません。すみません。
 さらに極めつきは、人体のミクロの世界です。人間の身体って、本当にかくも精巧な物体から成り立っているのかと感動を覚えます。よくも、こんな精密・精巧な仕掛けを、脳が間違わずに制御できるものだと不思議でなりません。
(2008年2月刊。780円+税)

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