弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年4月 7日

葉っぱで2億円稼ぐおばあちゃんたち

社会

著者:ビーパル地域活性化総合研究所、出版社:小学館
 アウトドア月刊誌『ビーパル』というものがあるそうです。私は読んだことがありません。でも、「ゲンキな田舎」という連載企画を連載したものをまとめた、この本は本当に読んで元気が出てきます。田舎だって、まだまだやることはたくさんあるということを実感できます。
 全国の直売所の総売上額は年間2500億円もある。といっても、農水産物の生産総額は9兆円あり、日本人の食料支出費にいたっては75兆円になる。日本最大級の直売所といわれるのは愛知県大府市の『げんきの郷』内にある「はなまる市」。JAあいち知多が建てた大規模複合施設。農産物を売る「はなまる市」は、1000平方メートル。700軒の農家が出品し、年間売り上げ高は15億円。
 珍しいものも売れるが、あんがい普通のものがよく売れる。スーパーになくて直売所にあるもの。それは、やっぱり安心感と鮮度。
 徳島県上勝(かみかつ)町は、山の多い谷あいに面した小さな町。人口2200人、半分近くが65歳以上。ところが、年寄りがやたら元気で、よく稼ぐ。70〜80歳で月収50万円はざら。年収1000万円という人も何人かいる。
 葉蘭、南天、もみじ(かえで)、松葉、笹の葉、柿の葉、椿の葉、ゆずり葉。春蘭、梅、ぼけ、桃、桜の花。どれも裏山や農家の庭先にあるものばかり。これらの葉や枝は、日本料理を彩る「つまもの」として、全国の料亭や旅館に流れていく。上勝町は、全国の「つまもの」市場の8割を占有する小さな大産地なのだ。
 たとえば、農家の庭に樹齢100年の柿の木がある。在来品種の渋柿だが、秋の紅葉がとくに鮮やかで、その葉っぱだけで売上30万円。スタート以来すでに数百万円を稼ぎ出している。す、すごーい。そうだったんですか。たしかに、高級料亭ではプラスチック製ではない、天然のものを添えていますよね。あれもビジネスになるのですね。
 三重県伊賀の農村に年間40万人もの人が訪れるアミューズメント施設がある。ゴールデンウィークには1日で1万人もの人々が押し寄せ、付近は大渋滞となる。売り上げ高が35億円。
 そこでは、体験事業する人が10万人、来る人の7割がリピーターになる。ソーセージをつくり、パンを焼き、ジャージー牛の乳搾りを体験する。
 阿蘇の黒川温泉の人気の秘密は雑木を植えたこと。中心はコナラ。コナラは、木肌に味があり、春の芽吹きも、葉が落ちたあとの佇まいも良い。虫に強く、いつ見ても飽きない。結局、人工美は自然美にはかなわない、ということ。普通の田舎が、今では一番の贅沢なのだ。まるで昔の農家のようだというのが人気になる。
 年に一度お客に来てもらうようり、何度でも来てもらえる地域にするには、どうしたらよいかを話し合ってきた。
 栃木県茂木(もてぎ)町の民宿『たばた』には、年間1万人がやって来る。一見したら、どこにでもある田舎の民家だ。ところが、ここは、体験型の民宿。年間の泊まり客は4000人。日帰り体験脚が6000人いる。宿泊料に1000円上乗せすると、ソバ打ち、農作業、生き物遊びが楽しめる。集落からインストラクターをつのった。時給2000円。多い人は、年間20回以上の指導をこなす。昔話の語り部だけでも、20人いる。
 うむむ、これはすごーい。こんなことは、全国各地でもっと試みられていいですよね。
 大分県宇佐市の安心院(あじむ)町は、農家民宿の草分け。いまや高校生の修学旅行先になっている。2005年には、22校、1600人がやって来た。訪れるのは平日なので、稼働率が上がった。
 なーるほど、ですね。いろんな工夫がなされているのですね。
 日曜日に久しぶりに山を歩いてきました。山のふもとに住んでいますので、お弁当をもって頂上を目ざします。桜が満開です。ソメイヨシノのピンクの花びらはいつ見ても色気を感じさせられます。春の山はウグイスをはじめ小鳥たちのにぎやかな鳴き声にみちみちていました。のぼり始めたころは少し曇り空でしたが、頂上に着くころは晴れあがり、少し春霞がかかっていましたが、汗ばむほどの陽気になりました。頂上の見晴らしのいいところで、お弁当開きをします。その前に上半身裸になって汗をふき、シャツを取りかえ、さっぱりします。はるか下界を見おろしながら深呼吸をして、まさに浩然の気を養いました。おかげで食もすすみ、ダイエット中にもかかわらず、おにぎりを2個とも食べてしまいました。体重は半年間で5キロ減り、今は64キロ台をなんとか維持できるようになりました。目標の62キロまで、あと少しの辛抱です。
 そろそろと山をおりて帰ります。山のふもとにツクシがたくさん出ていました。ピンク色の桃の花も咲いています。黄色い菜の花畑が少なくなったのが残念です。今年はじめてツバメが飛んでいるのを見かけました。
 わが家のチューリップは251本咲いています。あと半分はまだツボミにもなっていません。まだまだ当分じっくり楽しめそうです。
(2008年1月刊。1200円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー