弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年7月23日

李白と杜甫

中国

著者:荘 魯迅、出版社:大修館書店
 著者は10歳のときに文化大革命が始まり、苦難の道を歩むことになりました。そのとき、ギターと書物に救われたのです。
 人を助ける、人の心を助ける力があるものとして、文学はそこに厳然と存在している。
 著者は李白は皇族の一人だと主張しています。そして、杜甫は外戚なので、李白と杜甫は血縁だというのです。
 李白は人を殺したことがある。李白の奔放な表現は、すべて失意の表現なのである。
 ときは唐の時代。玄宗皇帝は楊貴妃を寵愛していた。そこへ、安禄山の反乱が始まる。
 書を読みて 万巻を破り
 筆をおろせば神あるが如し
 私も本はたくさん読んでいますが、筆をとっても神様の手のようには思うように動きません。
 黄鶴楼(こうかくろう)にて孟浩然(もうこうねん)の広陵にゆくを送る
 故人(こじん)、西のかた黄鶴楼を辞し、煙火(えんか) 三月 揚州に下る
 孤帆(こはん)の遠影 碧空(へきくう)に尽き
 ただ見る 長江の天際(てんさい)に流るるを
 私も黄鶴楼にはのぼってみました。今は大きなコンクリート製の建物です。昔はどうだったのでしょうか・・・。
  静夜思
 牀前(しょうぜん) 月明の光
 疑うらくはこれ 地上の霜かと
 頭(こうべ)をあげて 明月をのぞみ
 頭(こうべ)をたれて 故郷を思う
 まことにふるさとは、遠くにありて思うものです。
  早発 白帝城
 朝辞白帝彩雲間
 千里江陵一日置
 両岸猿声啼不往
 軽船己過萬重山
 私も長江下りをしたことがあります。そのとき、白帝城をはるか下から遠くに見上げました。たしか船中泊で早朝だったような気がします。白い小さな砦のような建物が霞のなかに浮かびあがっていました。
  春望
 国破山河在
 白春草木深
 感時花濺涙
 恨別鳥驚心
 烽火連三月
 家書抵萬金
 白頭掻更短
 渾欲不勝簪
 やはり、たまには漢詩を読んでみるのもいいものです。また中国に出かけたくなりました。この本は李白と杜甫の漢詩を紹介しながら、小説タッチで二人の出会いと別離を描いています。

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