弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年3月29日

身近な野菜のなるほど観察記

著者:稲垣栄洋、出版社:草思社
 洋食に欠かせないキャベツ。この取り合わせは、実は日本独特のもの。欧米には生のキャベツを食べる習慣がない。生のキャベツはウサギが食べるものと決まっている。
 キャベツには消化酵素のジアスターゼや胃腸の潰瘍を治すビタミンUなど、胃腸障害に効く成分がたくさん含まれているから、腹一杯たべても安心していい。
 キャベツは江戸時代に日本へ入ってきたときには、食用ではなく観賞用だった。キャベツを庭で育てたことがあります。毎朝の青虫とりが大変でした。とってもとっても、翌朝みるとたくさんの青虫がついているので、さすがにゲンナリしました。
 キャベツはアブラナ科。レタスはキク科。レタスを包丁で切ってはいけない。変色してしまうから。
 タマネギを切ると涙が出るのは、虫に食べられて細胞が破壊されたときに、刺激物質を瞬時につくって虫を撃退しようとしているのだ。涙が出ないようにするためにはタマネギを冷たくするか、縦切りにしたらよい。
 エンドウを漢字で書くと豌豆。だから、エンドウマメというと、豌豆豆となってしまう。エンドウを日本にもってきたのは遣唐使。
 アスパラガスはユリ科。アスパラガスは茎のみで光合成をしている。アスパラガスの代表的な有効成分はアスパラギン酸。疲れをとり、スタミナをつけてくれる。アスパラガスは3年目から次々に芽を出す。土のなかに細い芋のような貯蔵根があり、そこにエネルギーを蓄えている。アスパラガスには雄株と雌株があり、雄株のほうがよい。雄株は実をつけないのでエネルギーの消耗が少なく、太い芽をたくさん出すことができる。
 春分の日。春うららかな一日でした。庭に顔を出した2本目のアスパラガスを採って食べました。1本目は細すぎたので遠慮しました。泥をのけて電子レンジに入れてチンして食べてみたところ、春の香りが口いっぱいに広がりました。
 タケノコは一日に1〜2メートル伸びることができる。生長点をいくつも持っているので、そんなことが可能なのだ。タケノコは体内にジベレリンという生長促進ホルモンを多く含んでいる。
 ゴボウの根を食べるのは日本人だけ。ゴボウはキク科の植物。海外では、ゴボウは、花のほうが知られている。中国人でさえ、ゴボウの根を薬用とはしたが、食べることはしなかった。ふーん、そうなんですか・・・。ゴボウ天うどんって、おいしいですよね。あのシャキシャキした歯ごたえが何ともいえません。
 カボチャは、もともと熱帯原産。カボチャは保存がきくので、冬に食べることができる。
 ビールにエダマメはあっている。エダマメはアルコールの分解を助けるビタミンB1やビタミンC、肝臓の負担を減らすメチオニンなどを含んでいるから。
 今や、日本の大豆の自給率は10%にならない。
 トウモロコシは、収穫後もさかんに呼吸を続けるので、糖分を消耗してしまう。トウモロコシの糖度は、収穫したあと、急激に低下し、わずか一日で半減してしまう。
 トウモロコシは、イネ、ムギと並んで世界の三大作物。世界で栽培されているトウモロコシの多くは家畜の餌として利用されている。
 トマトの葉は有毒。トマトの赤い色素リコピンには発ガン抑制の効果もある。
 ピーマンは未熟な果実であり、それだからこそ苦み物質をもっている。ピーマンはトウガラシの一種である。
 トウガラシは日本は唐の国の唐辛子だが、韓国では倭の国から来たので、倭辛子と呼ばれている。トウガラシは種子を運んでもらうパートナーとして動物ではなく鳥を選んだ。鳥には辛さを感じる味覚がないので、トウガラシを平気で食べる。
 メロンは果物ではなく、野菜。甘やかして水をやりすぎると果実が水っぽくなる。そこで、水を制限して厳しい環境に追いこむと、懸命に果実に栄養分を集めだす。その結果、メロンは甘くなる。
 スイカは中心ほど甘くなっている。中心部が一番甘いのは、動物や鳥に残さずに食べてもらうための工夫なのだ。
 ニンニクは強い殺菌作用をもつので、弱い毒として人間の体に刺激剤となる。ニンニクの毒を排除しようと人間の体内の免疫力は高まり、防御態勢に入る。そして、人間のさまざまな生理作用が活性化されるのだ。
 なーるほど、身近な野菜についても知らないことだらけでしたね。

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