弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年3月27日

日本は略奪国家アメリカを棄てよ

アメリカ

著者:ビル・トッテン、出版社:ビジネス社
 ついに母国アメリカの国籍を捨ててしまった元アメリカ人による警鐘の書です。うんうん、大きくうなずきながら最後まで一気に読んでしまいました。
 著者は1941年生まれのアメリカ白人です。私がまだ大学生のころの1961年に日本にやってきて以来、日本に住んでいて、日本で会社を経営しながら、京都に住み、ついに2006年に日本へ帰化しました。在日38年目のことです。
 著者は、その前、アメリカに帰国するとき、要注意人物としてブラックリストにのせられ、空港では徹底した身体検査を受けたといいます。テロ防止法の対象者とされたわけです。ひどい話ですね。アメリカ政府を単に批判したというだけなのに・・・。
 日本政府は在日米軍基地を維持するために、年間5000億円を負担している。在日アメリカ軍兵士1人あたり1400万円。日本政府が日本国民1人あたりにつかっている社会保障費はなんと、その100分の1の13万円でしかない。にもかかわらず、アメリカ軍が日本を守ってくれる保障は何もない。
 日米安保条約があるから、アメリカは日本を守ってくれるというのは、実は脳天気な幻想に過ぎない。
 つい最近、福岡県内の築城基地にアメリカ軍がやってきて演習をはじめました。ついに本土が沖縄なみになったわけです。
 アメリカ軍の公務中による民間人への損害賠償について、日米地位協定では、アメリカだけに責任があるときの賠償金は、アメリカが75%、日本が25%を負担することになっている。アメリカだけに責任があっても、日本は賠償金を分担させられる。いかにも不平等な協定である。これには、私もまったく同感です。
 アメリカでは、低所得層の家庭に生まれた子どもが、所得の上位5%の階層へと行ける確率はわずか1%。残る99%は、そのまま低所得層にいるか、せいぜい中所得層に上がるのが現状だ。それに対して、上位5%の階層に生まれた子どもが成人してもそのままの階層に属することができる確率は22%。まるで違う。
 アメリカでは、貧しい家に生を受けた人は、生涯貧しい。いつも解雇に怯え、公共料金の支払いを危惧し、医療保険にも入れない。努力すれば幸せになれるという夢や希望は、微塵もない。ところが、裕福な家に生を受けた人は生涯、裕福な人生を送ることができる。そして、生涯、快適に安全に人生を満喫するために、一度得た権利を決して手放そうとはしない。
 アメリカの二大政党というのは、実は表面だけで、その実体は一党支配に思える。共和党も民主党も、政策は似たり寄ったりである。表向きは違う顔をした政党だが、資産党ないし富裕党という、一つの大政党しか存在していない。
 資産党(富裕党)の中に、共和派と民主派という二つの派閥があって、政権交代は単なる派閥争いにすぎない。そして、いずれの派閥(党)も、戦争が好きだ。クリントンになって以降の民主党は、民主党という看板を掲げた共和党になったという実感をもっている。
 資本主義とは、資本家の所得や富を最大限にするためのシステムである。たしかに清算や消費は増大するが、地球環境に余計な負荷がかかってしまう。山や海、川は汚染され、ゴミは増え、石油などの地下資源は一層すくなくなっていく。資本主義はまったく不完全なシステムだ。
 私は昨年、突然、花粉症になってしまいました。今年も、目や鼻がやられてしまいました。鼻の詰まりがひどいのです。人間って、鼻で息をしていることを、しみじみ実感させられてしまいました。この花粉症にしても、単にスギ花粉の大量発生だけでなく、ディーゼル黒煙など、大気汚染がバックグラウンドに必ずあると私は考えています。そうでないと、昔から花粉はあったのに、なんで、現代人が大量に花粉症にかかって悩まされているのか、十分な説明がつかないと思います。いかがでしょうか?

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