弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年1月26日

新・細胞を読む

著者:山科正平、出版社:講談社ブルーバックス
 人間の身体をつくっている細胞を電子顕微鏡で美しい写真として紹介したものです。まことに人間の身体とは繊細かつ巧妙な化学工場そのものだと感嘆してしまいます。こんな精巧きわまりないマシーンを並の人間が自分の力でつくり出したとは、とても思えません。かといって神がつくり出したというには、あまり完璧でないのが気になってしまいます。
 紹介されているカラー写真を眺めているだけで、人体の神秘がよくよく伝わってきます。
 人間の骨の内部をとった白黒写真があります。破骨細胞というものがあり、古くなった骨をむさぼり食っている様子を示したものだというのです。あの硬い骨を食いあさる細胞がいるというのです。しかも、同時に、骨をつくってもいます。骨では、絶えずつくっては壊す営みが行われているのです。
 中年太りを大いに気にしている私です。自分の裸を鏡で見ることなど、滅多にありませんが、温泉に出かけたときに、つい見えてしまうことがあります。肥満度120%の突き出たお腹に、我が身体ながらおぞましさを感じてしまいます。間食もほとんどとらず、それなりに減量に努めているつもりなのですが、あと3キロ体重を減らしたいと思っても、まったく減ってくれません。このごろでは、体重計に乗るのも嫌やになってしまいます。
 脂肪細胞とは、大量に貯蔵した脂肪のために、自らの細胞要素が周辺に圧迫されて、細胞全体が大きく膨れあがった、そんな細胞だ。
 幼児期に大量の脂肪を摂取すると、脂肪細胞数が増加する。これは肥満予備軍になる。肥満にともなって脂肪細胞数も増えるらしい。そのうえ、脂肪細胞に蓄積された脂肪はなかなか放出されにくいので、それを減らすのは大変なこと。
 人間の舌を電子顕微鏡で見た写真があります。舌には無数のトゲがあるんですね。舌状表面には糸状乳頭がたくさんついていて、これで食物を引っかけて、のどの奥へと送ってやる。糸状乳頭は舌表面にある角質層がトゲのようになって覆い被さったものである。人間の舌は先が細くて鋭利な糸状乳頭がもっとも多い。
 ここまで人間の身体は分析され、目に見えるようになっているのか・・・。科学技術の進歩には感嘆せざるをえません。それでも、人間はガンなどの病気を服することはできていないわけです。楽しくもあり、考えさせられる写真集というか、本でした。

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