弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年1月26日

新世代富裕層の研究

社会

著者:野村総合研究所、出版社:東洋経済新報社
 お金持ちとは、年収1億円以上を2年以上にわたって手にしている人。
 世帯年収2000万円以上を稼いでいる人たちを富裕層という。
 年収1500万円以上をパワーリッチ、年収750万円〜1500万円をプチリッチという。
 シティグループでは、純資産が3億円以上で、運用できる金融資産が1億円以上の人についてプライベートバンクの顧客として厚遇する。
 みずほフィナンシャルグループは、預かり資産5億円以上の顧客について、プライベートバンキングでサービスを提供する。
 野村證券は、最低契約金額3億円で、サービス優遇する。
 このように、自由に動かせる金融資産が億の単位の人が顧客として優遇され、それ以下の人は「ゴミ」扱いされるのです。これは昔からそうでしたが、今はあからさまに差別されるのが昔と違うところです。だから今では両替手数料まで取るのです。
 メリルリンチの調査によると、日本には金融資産100万ドル(1億円)以上という富裕層の基準をみたす層が全国に40〜60万世帯あり、そのうち70%が首都圏、大阪、名古屋、福岡に集中している。
 金融資産が1億〜5億円の富裕層マーケットの規模は2005年時点で167兆円、81万世帯である。2003年から拡大基調になっている。今後、団塊世代のリタイア、少子高齢化にともなう遺産相続の増加によって、金融資産5億円以上の超富裕層よりも、1億〜5億円の富裕層が増えていくと思われる。
 富裕層には銀行や証券・投資会社への不信感が根強い。手数料にも敏感であり、ほとんどの人が毎日インターネットを見て学んでいる。
 野村総研がこのような本を出したということは、この富裕層を狙った商売のノウハウを広めようということなのでしょう。
 日本が勝ち組と負け組に二分化していっている今、勝ち組にたかって、そこから吸い上げて自分の生活をまともなものにしようと叫びかけている本のような気がします。
 同じ団塊世代のみなさん、銀行や証券会社の甘い言葉にのせられないよう、お互いに気をつけましょうね。

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