弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年12月15日

健康診断・人間ドッグが病気をつくる

著者:中原英臣、出版社:ごま書房

 医師が書いた本だとは、とても思えない本です。
 健康診断は、収益を重視しすぎる、見落としが多い。検査項目が中途半端だ。
 毎年、数千億円を費やしている健康検査の大部分は十分な根拠のないまま行われている。
 健康習慣を真面目に続けると、かえって短命になるというフィンランドの調査結果があるそうです。つまり、個人の事情を無視した健康管理は効果がないのです。
 X線検査には悪影響があり、短期間に何度も受けるべきではない。
 胃カメラを飲んだ1万4280人のうち1人は、この検査による医療事故にあっている。早期の肺がんは、症状がないので発見されにくい。胸部X線検査では早期の肺がんは見つかりにくい。
 CT検査だと放射線の被曝料が多くなるので、人体へのリスクが大きい。
 がん検診そのものの有効性は検証されていない。PETによるがん検診で85%のがんが見逃されている。
 高血圧や高脂血症の薬は、今や製薬会社にとってのドル箱だ。
 人間ドッグの受診者は、1984年に41万人、1996年に237万人、2003年311万人と急増している。この10年間で100万近く増えている。そして、その結果、異常なしという受診者は12%のみ。受診者の88%には何らかの異常があったことになる。正常値から少しでも外れると異常だというわけ。
 1965年に医師は11万人ほど。ところが、2004年には27万人以上になった。35年間で医師は2.5倍も増えた。医師は健康な人を病気にすることができる。
 脳ドッグは、小さな異常までよく見つかるので、手術を受けることになる可能性がある。しかし、それは怖いこと。脳の手術を受けたときのリスクは大きい。
 この本を読むと、下手に健康診断や人間ドッグは受けないほうがいいということが良く分かります。ところが、実は、私は40歳になってから、なんと毎年2回、人間ドッグに入っているのです。しかも、日帰りではなく、なんと一泊ドッグなのです。私にとって、人間ドッグは逮捕されそうになったとき検査入院という名目で病院へ逃げこむ口実と同じことです。つまり、静養したいということです。ですから、決して土・日曜日や祝祭日には入りません。平日に2日間、ゆっくり本を読むために入るのです。といっても、検査結果で何度かひやっとしたことはあります。でも、なんとか無事に今日に至っています。
 幸いにして、日ごろ薬はまったく飲みません。人間の自然治癒力を信じ、規則正しい生活を心がけています。

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