弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年12月 8日

ドイツ戦車、戦場写真集

著者:広田厚司、出版社:光人社
 戦車って戦場では万能の兵器のように見えますが、実は故障率が高かったのですね。ナチス・ドイツ軍が1993年にポーランドに侵攻したとき、戦車の4分の1が故障したというのです。
 ロンメル将軍もアフリカで戦車を動かしたわけですが、砂漠の砂とホコリは戦車の敵でした。戦車のエンジンの寿命を3分の1にしてしまいました。
 ナチス・ドイツ軍は、修理システムが十分でなく、また、多種の車輌による部品のため戦車戦力の15〜30%はムダにしていた。つまり、ヒトラーのナチス・ドイツ軍は補給のことを十分に考えていなかったのです。
 装甲部隊の作戦と戦力維持のための組織力に欠けていた。
 そして、ドイツ軍の機能化師団にとってもっとも深刻だったのは、燃料不足で進撃速度が落ちたこと。補給ラインが伸びて燃料が届かない。列車での輸送は、軌道幅が違うためにできない。船は黒海にソビエト艦隊がいて実行できない。空輸では、とてもまかなえない。さらに、ソ連軍のT34戦車にドイツ戦車は負かされていた。
 ヒトラーの求める狂信的な「撤退せず」という指令が、いつもドイツ軍の装甲部隊の致命傷となった。
 200枚もの戦場におけるドイツ戦車をとった写真集です。そこに戦争に悲惨さはまったく出てきませんが、その愚かさは十分に分かります。スターリングラードやレニングラードの戦いなどを先に紹介しましたが、それらの戦場の様子を具体的にイメージできる本です。

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