弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年10月 6日

死刑執行人の記録

著者:坂本敏夫、出版社:光人社
 懲役受刑者は四級からはじまり、三、二、一級と進級する。上位の級に進むにしたがって自由の範囲が広がり、社会復帰が近くなる。1933年(昭和8年)につくられた、当時は世界の最先端をいく画期的な制度だった。
 自由の範囲というのは、手紙を出せる回数、面会できる回数、自分のものがつかえる日用品等の物品の種類がふえるということ。手紙だったら、四級は月一回、三級は月二回、二級は週一回、一級になると毎日出せる。一級者になると、着衣や身体の検査もなく、独歩といって、刑務官の付き添いなしで構内を歩くことも認められる。
刑務官は1万5000人。その90%は幹部養成の研修も試験も受けない。幹部は転勤をともなうから。
 仮釈放は、刑務所の推薦があってはじめて審査の対象となる。それはパロール審査会で決まる。そのときもっとも参考にされるのは処遇係長の意見。
 死刑の執行は判決が確定してから6ヶ月以内に行うと刑事訴訟法に定められているが、実際には10年前後経過して行われている。もちろん、先日の大阪の例のような例外はある。
 絞首刑によって心臓が停止するまで、つまり生物学的に死亡するまでの平均時間は10分だといわれている。
 処刑に立会するのは高等検察庁の検察官と検察事務官、拘置所の所長、教誨師、医務課長。
 日本における死刑執行の状況を小説という形をとって克明に再現した本です。死刑執行の是非を真面目に考えるときにはぜひ読んでほしい本だと思いました。

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