弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年8月25日

がんに負けない、あきらめないコツ

著者:鎌田 實、出版社:朝日新聞社
 著者は私と同じ、団塊世代。学生時代には全共闘の活動家としてヘルメットをかぶって暴れていたそうですが、ほのぼのとした心温まる今の文章からは想像できません。
 この本は、乳がんの患者だった40代の女性との往復書簡が中心となっています。本当に残念なのですが、この女性は51歳で亡くなられました。抗がん剤の限界のようです。
 毎年60万人の日本人が新しいがんにかかり、毎年30万人ががんで死ぬ。3人に1人ががんで死んでいる。日本全国に今300万人の人ががんにかかって生きている現実がある。そう言えば、私の依頼者にも、自分はがんだと言っている人が両手の数以上おられます。いくつものがんと共存している人も少なくありません。
 この本には信用できる抗がんサプリメントがあるかということも紹介されています。アガリクスもメシマコブもヤマブシタケも、みんな星一つでしかない。茶カテキン、イチョウ葉エキス、ポリフェノール、プロポリス、サメ軟骨エキスも、みんな星一つ。
 高麗人参は星一・五で、少し評価が高い。私は、実は、この高麗人参をかなり前から愛用しています。星一・五は、ほかに、リコピン、ビタミンC、E、コエンザイムQ10。
 星二つは、なんと、豆腐・みそ・納豆などの大豆製品。三つ星の抗がんサプリはない。
 抗がんサプリを盲信しないようにしよう。抗がんサプリは使い方を間違えると、かえって体を悪くすることがある。
 がんを予防できると明確に証明された食べ物はまだない。しかし、野菜や果物をたくさん食べることがよいことは、研究者の誰もが認めている。これを食べていればがんにならないという食べ物や栄養素は今のところない。
 お茶を丸ごとたべることを勧めていた広告塔のKさんは44歳のとき、がんで死んだ。アガリクスの広告塔だったMさんは69歳で、大豆を食べれば万病解決と説いていたOさんは65歳で、いずれもがんで死んだ。これを食べれば万全と信じている人に反面教師になる。そうだったんですか。広告塔だった人が死んだことは、やっぱり知らされないものなんですね。あたりまえのことでしょうが・・・。
 日中はがんばって仕事をし、夜は疲れてグッスリ休む。これが、交感神経と副交感神経のバランスがとれているときのリズムだ。無理が続いたり、心配ごとをかかえて苦悩する緊張状態が長く続くと自律神経のバランスが崩れる。心筋梗塞や脳卒中は、がんばりすぎて交感神経の緊張が重なったときに起きる。
 なるようにしかならないよ。ケセラセラ、なんていいながら、がんばらないほうが、結果的にがんと闘える。悪循環を断ち切って、がんばらない勇気をもったほうがよい。
 がんばらないというのは、副交感神経を刺激すること。あきらめないというのは、副交感神経を大事にしながらも、交感神経を少し刺激して、無理しない程度にがんばるということ。このがんばらない、とあきらめないのバランスは、自律神経のバランスとも一致している。
 著者は爪もみ療法を紹介しています。ちょっと痛い程度に爪の横を押す。すると、身体はびっくりして、血流を増やして刺激を洗い流そうと、副交感反射を起こす。体を温かい状態にするのは、とても身体に良い。体を冷やしてはいけない。冷房は発がんの原因になっている。私は、昔から冷房が苦手です。ですから、真夏でも背広姿がいいのです。

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