弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年6月 9日

黄砂、その謎を追う

著者:岩坂泰信、出版社:紀伊国屋書店
 この春、福岡には何度も黄砂の襲来があり、春霞のような状況が生まれました。ただ、先日の新聞によると、黄砂は光化学スモッグの原因物質を吸収する働きもしているそうで、有害無益の極悪人とは決めつけられないようです。
 いえ、この本によると、海中のプランクトンの栄養にもなっていて、日本人にも貢献していると言います。大気から海面に落下する黄砂は微生物にとって大切な物質になっている。海の動物プランクトンが黄砂を食べる。そして排泄物と一緒に再び海中に放出する。このようにして黄砂がミネラルや栄養素をプランクトンに供給している。そのプランクトンを魚が食べる。
 黄砂は空飛ぶ化学工場でもある。大気中の硫黄酸化物や窒素感化物を吸収しているのだ。
 黄砂は中国大陸から奥地から出発して、太平洋へ流れ出し、日本列島をこえて、アメリカ大陸にまで届いている。
 韓国の気象庁は黄砂について3段階の警報を出す。レベル3になると、老人と子どもの外出は禁止され、屋外行事は中止される。サッカーの試合も延期される。
 中国では黄砂といわず、一般には砂塵暴という。
 ラクダは砂漠で砂塵嵐がやってくると、自分の顔を埋めることのできるくらいの大きさの穴を掘り、そこに顔を突っこみ、嵐のあいだに気管に砂が入らないようにして呼吸する。
 中国大陸の2キロメートル上空は黄土高原の砂嵐から、6キロメートル上空はタクラマカン砂漠の砂嵐から飛んできたことが判明した。
 著者は敦煌で黄砂を測定する調査に従事しています。私も、敦煌には一度行ったことがあります。町の周囲は荒涼たる砂漠が広がっていました。お墓も砂漠にあります。いずれ砂に埋もれてしまうのでしょう。
 タクラマカン砂漠は黄砂を巻き上げる力のある砂漠である。私もウルムチからトルファンに向けて砂漠のなかを突っ走ったことがあります。どこまでも一直線でした。そして風が強いのです。黄砂が舞いあがるわけを実感しました。風が強いのを利用して、たくさんの風力発電機があり、壮観でした。

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