弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年5月18日

小説電通

著者:大下英治、出版社:徳間文庫
 あの電通が、いかにして日本のテレビそして広告業界全体を支配するまでにのしあがったのかを描いた実録小説です。といっても、この本は25年も前のものです。私は図書館から借りて読みました。本は買って読む主義なのですが、残念なことにもう売っていなかったのです。
 Fマッチ・ポンプ集団が狙う相手は、同業他社の広告代理店がメイン代理店になっている企業に限られる。スキャンダルを流された企業のイメージは傷つけられ、その企業のメイン代理店の立場も悪くなる。そこに電通が救世主のようにあらわれる。ポンプ役を果たし、それまでのメイン代理店に取ってかわって、新たに電通がメイン代理店となる。そして、ひとたびクライアントになった企業に対しては消火作業専門にあたる。うーむ、よくできているというか、えげつないというか・・・。
 電通が強い理由のひとつは、テレビのゴールデンタイムの占有率が5割とか6割を占めていること。2位の博報堂はせいぜい10%程度なので、比較にならない。
 電通は、昭和48年以来、広告界において世界一の座を誇り続けている。日本の総広告費の4分の1以上を電通が占めている。海外ではまったく無名にひとしいのに・・・。今はどうなんでしょうか・・・。
 日本の広告代理店には一位があって二位がなく、五、六位に博報堂がある。電通はガリバー型巨人である。媒体を確保し、媒体を売ることが日本の広告代理店の主な仕事。この媒体確保能力において電通の力は絶大なのである。
 電通は人脈づくりに力を注いでいる。政界にも財界にも強力なコネを築きあげている。しかも、人質作戦まで敢行している。要するに、政財界の大物の子息や親戚をいざというときのために電通の社員としている。マスコミ関係者の縁者も多い。電通の開祖・吉田秀雄は、東大出のインテリを採用すると同時に、有名人の血縁者を縁故採用するという両面作戦をとり、これがあたった。
 電通は政府広報にもくいこんでいる。その4割以上を電通が占めている。自民党広報については8割以上で、ほぼ独占している。
 いやあ、すごいものです。日本を牛耳っているのは小泉・自民党というより、うしろで操っている電通だ。そんな気がしてきました。背筋が寒くなります。25年たった今は、どうなんでしょうか・・・。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー