弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年3月31日

護憲派のための軍事入門

著者:山田 朗、出版社:花伝社
 陸上自衛隊の中核的な機動打撃力は戦車1000両、自走砲500両、装甲車1300両。とくに注目すべきは新型の90式戦車。これは、イラク戦争で使用されたアメリカ陸軍のM1A2エイブラムス戦車、イギリス陸軍のチャレンジャー2戦車と同水準の性能を有している。120ミリ砲を装備し、50トンの重量で、最高速度は時速70キロ。IT化がすすんで、乗員は3名のみ。90式戦車は1両8億円で、車体・砲塔は三菱重工業が生産している。
 海上自衛隊の中核的な戦力は護衛艦54隻、潜水艦16隻、P3C対潜哨戒機97機。イージス艦として知られる「こんごう」型護衛艦は4隻。新型イージス艦は建造費が1隻で1500億円ほどもする。
 航空自衛隊の中核的戦力は、367機の戦闘機。うち203機はFー15J戦闘機で、これは、アメリカ空軍の主力戦闘機と同型機。
 「おおすみ」型輸送艦は、強力な上陸作戦用兵器であり、LCACと呼ばれる輸送用エアクッション艇を2隻搭載している。LCACは、「おおすみ」の艦尾のドック型出入り口から海上に出て、海上を40ノット(75キロ)の高速で疾走し、陸上に上陸部隊を送りこむ。LCACの積載能力は50トンで、これは90式戦車1両をそのまま積める能力があるということ。
 自衛隊は660機もの各種ヘリを保有している。ヘリコプター搭載護衛艦は4機のヘリコプターをのせる。対潜哨戒ヘリ3機、掃海・輸送用ヘリ1機。海上自衛隊の護衛艦53機のうち34隻がヘリ搭載艦。
 いったいこのような軍隊は本当に日本国民を守るものなのでしょうか。誰から何を守るというのですか。軍隊は、誕生して以来、自分たち軍人の特権的生活と軍事産業を守るものであり、常に国民は犠牲にされてきた。これが歴史の真実ではないでしょうか。人殺しの技術しか身につけていない軍人が威張りちらす社会なんて、私はゾッとします。
 北朝鮮の「脅威」を宣伝したいアメリカと、あいまいな「核兵器」とミサイルによって威嚇を実現したい北朝鮮は、自分の都合のいいように情報を切りとって、さかんに情報戦を展開している。両者が重なりあって北朝鮮の「脅威」は実態よりも大きくイメージされているので、この「脅威」を過大視してはならない。
 私も、まことにそのとおりだと思います。

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