弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年3月20日

不思議な数 πの伝記

著者:アルフレッド・S・ポザマンティエ、出版社:日経BP社
 円周率π(アメリカ式にはパイ。ヨーロッパではピー)の話。2πrとかπr2 というのを思いだしますよね。なつかしく、また嫌な思い出として・・・。
 3.14159 ここまでは私も覚えています。この本には、なんと10万桁まで紹介されています。27頁もつかい、びっしり小さな数字で埋めつくされています。東大の金田康正教授が1兆2411億桁まで計算したのが世界最高だそうです。日立のSR8000というスーパーコンピューターをつかって計算しました。1秒に2兆回の計算ができるスパコンですが、600時間もかかったそうです。
 そんな計算に意味があるのか、という疑問を抱くでしょうが、コンピューター精度と計算手順を検証するために有効だということです。
 πの数字を暗唱した世界最高記録は日本人の原口證氏です。2005年7月に8万3,431桁を13時間かけて暗唱しました。気の遠くなる数字です。いろんな言語によるπの数字の覚え方も紹介されています。
 19世紀ドイツの大数学者ガウスもπの計算をしましたが、このときダーゼという暗算の名手を手伝わせました。まだコンピューターのない時代ですから、コンピューターがわりに人間が暗算したわけです。ダーゼは、頭の中で8桁どうしの掛け算を45秒でできた。40桁どうしを掛けるには40分かかり、100桁どうしの掛け算には8時間45分かかったそうです。映画「レインマン」のダスティン・ホフマンを思い出しました。
 5世紀中国、天文学者で数学者でもあった祖沖之もかなり詳しいπの計算をしています。さすがは中国ですね。西洋文明に負けてはいません。
 不思議な話があります。
 紙を一枚用意して、定規で全体に等間隔で平行な直線を引く。そして針を何度も紙の上に落とす。すると、針が定規で引いた線に触れる確率はπとほとんど同じだ。
 ちょっと信じられませんよね。いったい、この確率とπとにどんな関係があるというのでしょうか。単なる偶然の一致にすぎないのでしょうね・・・。
 アインシュタインは1879年3月14日生まれ。3月14日はπの日。3.141879はπの近似値だ。
 地球の赤道にそってロープを巻きつけたとする。それから、ロープの長さを1メートルだけ延ばす。そして同じく赤道にそってロープを巻きつける。地表面からロープはどれくらい離れるか。答えは16センチ。赤道の上を身長1.8メートルの人間が歩いたとして、頭は足よりどれだけ余計にすすむか。答えは11.3メートル余計にすすむ。
 赤道に巻きつけたロープを1メートルだけ長くして、一点をひっぱると、その一点は地表からどれだけ高くなるか。答えは、122メートル上空になる。ふーん、そうなんだー・・・。ちょっと浮世ばなれした不思議な話題が、いくつも紹介されている本でした。

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