弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年2月14日

君の星は輝いているか

著者:伊藤千尋、出版社:シネ・フロント社
 私と同じ団塊世代です(正確には私の一歳下)。東大法学部を卒業して朝日新聞社に入り、世界各地に特派員として赴任しています。ブラジルのサンパウロ、スペインのバルセロナ、アメリカのロサンゼルスの、それぞれ支局長をつとめています。南アメリカ特派員の体験にもとづく「太陽の汗、月の涙」(すずさわ書店)を読んだのが、この著者との出会いでした。すごく爽やかで、深い感銘を受けたことを覚えています。
 驚いたことに、著者は大学時代にキューバに出かけて、半年間も砂糖キビ刈り国際ボランティアをしたというのです。すごいですね。1971年のことです。東大闘争も終わり、私が司法試験を受けている年のことです。著者も裕福ではなかったようですが、貧乏学生だった私には海外へ出かけるなどと考えたこともありませんでした。セツルメント活動という地をはいまわるような活動をしていたせいもありますが・・・。
 この本で、著者は海外で体験したことを、みた映画と結びつけて紹介しています。味わい深い内容です。ついつい感心しながら読みすすめていきました。私も見た映画がいくつもあり、うれしく思いました。
 「華氏911」、「フリーダ」、「JSA」、「二重スパイ」、「ボウリング・フォー・コロンバイ」、「 蝶の舌」、「レセ・パセ」、「戦場のピアニスト」、「この素晴らしき世界」です。でも、この本を読むと、たくさんのいい映画を私は見損なっているようです。
 民主主義とは、すでにあるものではない。日々、つくり出すものである。
 世界はバラ色ではないが、しかし、前に比べるとよくなっている。身近な問題から達成しよう。教育や組織化によって社会は変えられる。意思さえあれば何でもできる。権力を倒すために正しい運動をすべきだ。一人一人が声を上げることだ。
 私も、まったく同感です。
 マイアミでは日本製の時計が異様なほど大量に売れる。これは、麻薬組織が麻薬の売上金でいったん日本製の時計を大量に買い、その時計をメキシコや南米のコロンビアなどにいる麻薬マフィアに「輸出」する。受けとった麻薬組織は現地で時計を売る。こうすると正当な時計の売り上げとなって記録され、麻薬売買の跡形が残らない。汚い金が、こうやって洗浄される。
 アメリカでは年間に銃で殺された人は1万1127人。カナダでは165人。日本は 39人。
 ダスティン・ホフマンは、中学生のとき、背が低くてコンプレックスの塊だった。高校生のときは、成績が悪くて退学寸前だった。俳優を目ざしたのは、俳優の多くは成功しない。成功しなくても、俳優として尊敬される。尊厳を保てるし、失うものがない。チビだ、無能だと蔑まれながら、誇りだけは失わないのが彼の青春時代だった。ホフマンは言う。人生で大切なのは、自分が情熱を持てることをやることだ。成功することより、そっちの方が大切だ。
 いい言葉ですよね。たくさん本を読んでいると、素晴らしい言葉にめぐりあうことができます。

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