弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年11月11日

宇宙はなぜ美しいのか

著者:キース・J・レイドラー、出版社:青土社
 この本には、いろんな数字が紹介されています。
 まずは、原子の大きさです。直径1ミリのボールベアリングがあったとする。これをどんどん大きくしていって、それを構成する原子1個が直径1ミリの大きさになったとしたときには、ベアリング自身は直径10キロメートルになっている。
 1リットルの水は3×1025 個の分子が含まれている。その数の水分子をつなぎあわせて一本の糸をつくったとする。その長さは、なんと10兆キロメートル。これは、1光年より少し長い。この糸は、地球と月とのあいだを1200万回も往復できる。
 原子と原子核の大きさの違い。原子を半径10メートルにまで拡大したとすると、その体積はバスの体積になる。ところが、そのとき原子核の半径は1ミリよりも小さい。今度は原子核を本の大きさにまで拡大したとすると、電子は1キロメートル以上も離れた先にある。
 金は、原子核の質量が大きいため、電子が光の速度に近い速さで動いている。これが金と銀が違って見える理由。うーん、これはなんだかよく分かりません。
 地球にもっとも近い恒星はプロキシマケンタウリ星で、4.3光年離れている。
 いまマッハ30(音速の30倍。毎秒10キロメートル)ですすむ宇宙船があるとする。光速の3万分の1。だから、1光年の距離を旅行すると、3万年かかる。それで、プロキシマケンタウリ星に到着するには13万年かかる。
 惑星をもつらしいもっとも近い恒星だと20光年先のところにあるから、そこに着くには60万年もかかる。惑星上でなければ生命は維持できない。しかし、それにしても60万年というのはあまりにも長い。
 人間の1個の細胞はブリタニカ大百科事典30巻の10倍の情報を蓄えることができる。ところが細菌の細胞はずっと容量が小さく、100万分の1ほどなので、新約聖書に含まれた情報くらいしか蓄えられない。
 ヒト細胞の核を100万倍に拡大してスーツケースの大きさにしたとする。すると、そこにある一本の染色体は長さ50キロメートル、太さ1ミリになる。つまり、スーツケースに太さ1ミリ、長さ50キロメートルのひもを46本詰めこんでいることになる。細胞はこれをやり、しかも46本の糸の上にあるコドン(塩基)のひとつひとつにアクセス可能なのである。1人の人間の全細胞の全DNAを引き伸ばせば、それは地球と月のあいだを8000回も(太陽となら250回)往復する。
 実際には、たった1本の染色体の長さが5センチであり、46本の染色体の全長は2メートル。それが小さな核のなかに詰めこまれていて、詰めこまれたあと相応の化学反応ができる。いやあ、すごい、すごい・・・。
 極大の世界と極小のそれとが似ているというのも、胸がワクワクするほどの面白さですよね。

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