弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年8月 4日

戦場の現在

著者:加藤健二郎、出版社:集英社新書
 早稲田大学の理工学部を出て、建設会社勤めのあと戦場ジャーナリストになったという異色の人物によるレポートです。
 中米・中東・東欧・アジア・アフリカなど世界各地の戦場に出かけて写真をとってきました。現地で何度も捕まった体験をもっています。本当に危ない瞬間を何度となくくぐり抜けてきたことがよく分かる本です。どうして、こんな危ない目にあおうとするのか不思議な気がします。でも、著者のそんな行動のおかげで、私たちは安全地帯にいて寝っころがりながらも世界の実情の一端を知ることができるのですから、少しは感謝しなくてはいけないのでしょうね・・・。
 逃げるときには、たくさんの人が逃げる方向へは行かないことが重要だ。
 戦場では、実際に人が殺されるのはあまりない。しかし、戦況報告はたいてい大きく誇張される。それは、現場にいた者のほとんどすべてが、戦闘を大げさに捏造することによってトクをするからだ。
 今回のイラク戦争では、アメリカ軍は通常なら侵攻する前に空爆によってイラク軍を叩くはずなのに、それをしていない。それは、イラク軍が抵抗しないことに確信をもっていたからだ。イラク軍には組織的な抵抗をする戦力がなく、イラク兵には戦う意思をもっていない。これをアメリカ軍は事前に察知していた。なーるほど、ですね・・・。
 日本の自衛隊でも、実際にイラク復興のため実働するのは、1日わずか50人程度でしかありえない。では、自衛隊はイラクに何をしに行っているのか。それは日本の国防のためでも日本人の安全のためでもなく、ましてやイラク人のためなどであるわけはない。自衛隊をイラクへ派遣する目的は、自衛隊の運用範囲拡大のための前例つくりである。つまり、本当の目的は、日本国内における自衛隊の地位向上、権限拡大、運用範囲の拡大である。現地イラクの事情とは関係のないところで、日本政府の思惑によって決まってなされていることなのである。
 うーん、そうなんですよね。そうとしか考えられません。真面目にイラクの人々への人道支援をしたいのなら、世界のNPOに資金援助すればもっと効果的だということは既に大勢の人が言っていることです・・・。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー