弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年7月 1日

源義経

著者:上横手雅敬、出版社:平凡社
 「判官びいき」の対象としての義経は弱々しい美貌の若武者というイメージです。しかし、現実の義経は色白ではあったが、小柄で、反歯(そっぱ)で、容姿にすぐれていたとは言えないとされています。むしろ、野性的で、強く、明るかったといいます。
 『平家物語』に登場してくる義経は、明るく強い勇者であり、何のかげりもないので、判官びいきの対象とはなりにくい。これに対して、『吾妻鏡』が初めて義経に対して判官びいきを示している。梶原景時や源頼朝を悪玉に仕立てあげているのは、この『吾妻鏡』は執権北条一族が牛耳る鎌倉幕府の編集するものだからである。だから、曾我兄弟の仇討ちも美談とされている。源頼朝は、曽我五郎に暗殺されようとしたのに・・・。
 写真が豊富にあって、義経を取り巻いていた状況を視覚的に理解することができます。

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