弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年7月 1日

母子密着と育児障害

著者:田中喜美子、出版社:講談社α新書
 人間が社会的に成功する要素としてとても重要な言語能力は3歳までに培われてしまうという研究成果があるそうです。たしかに、親や周囲がずっと話しかけた赤ちゃんの方が、立派に発育するだろうと思います。
 ところで、いま子育ての世界で多くの害を流しているのは面倒みのいい母親が子どもの自立力を阻害するケースである。この害が恐ろしいのは、暴力などと違って、そのときには意識されず、かなりあとにならないと結果が見えてこないということ。
 「放任型」の親が増えている。自己中心で面倒くさがりの人、生まれつきおおざっぱで他人の面倒をみることなど性にあわない人が、がんばりも根気もない女性が増えているから。ところが、こうした放任型の母親を育てたのは、実は保護型の母親であることが多い。
 中学・高校生のわが子の非行に苦しんでいる母親たちは、ほとんど異口同音に「子どものときには、何ひとつ問題はありませんでした」と語る。それが危ないしるしだということを我々はもっと認識しなくてはいけないようです。反抗期は子どもにとって必要不可欠なものなのです・・・。

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