弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年6月 9日

難民キャンプの子どもたち

著者:田沼武能、出版社:岩波新書
 ベイルートのパレスチナ難民キャンプの子どもたちは手製の銃を持って兵隊ごっこをしています。一番のリーダーは本物の銃を持っています。ですから、兵隊ごっこは、やがて本物の兵隊の訓練に化けるのかもしれないのです。
 サラエボの難民施設の子どもは、心のケアのために画用紙に絵を描かせると、黒く塗りつぶし、自分の顔にまで黒い絵の具をつけました。あまりに恐ろしい体験をすると、描く絵も暗いものになるのです。
 エチオピアの難民キャンプは飢えのため、文字どおり骨皮筋衛門となった少女、そして人体模型のように肋骨が透けて見える少年がいます。1日20人の子どもたちが死んでいきました。
 ザイールの難民キャンプではあまりにも大量の難民が出たので、両親とはぐれた子どもたちが続出し、写真をとって親を見つけ出す作業がすすめられていました。
 13歳で少年兵にさせられたリベリアの男の子はゲリラから両腕をナタで切り落とされて道端に放置されているところを国連職員が通りかかって救出しました。でも、両親がなくて、アフリカでどうやって生きていくのでしょうか・・・。
 子どもたちが著者にいま一番ほしいものとして白い紙に書いたのはPEACE ONEでした。ぼくたちは、平和がいちばん、なのだということです。ホント、そう思います。
 世界中の難民キャンプが紹介されています。カラー写真だし、子どもの笑顔もいくらかはありますので、辛い状況を子どもたちがなんとか乗りこえようとしていることを知って、チョッピリ心が救われます。

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