弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年6月 1日

全裏手口!オレオレ事件簿

著者:日名子 暁、出版社:廣済堂出版
 オレオレ事件とヤミ金融の舞台裏がよく分かる本です。それにしてもホント大勢の人がコロッと騙され、大金を簡単に送金してしまうものですね。驚いてしまいます。それだけ人間関係が希薄になったということでしょうか。お年寄りは信じこみやすいと同時に、会話に飢えているという指摘もあります。電話は夜かかってくるのではなく、昼間、それも午後2時から4時ころが多いといいます。
 この本に宮城県警の巡査長(47歳)が交番に保管されていた書類をもとにオレオレ詐欺を働いたという事件が紹介されています。ホンモノに言われたら信じるのも当然です。
 でも、たいていは20代の若者がアルバイト感覚でやっているんです。若者向けの就職情報誌に「固定給50万円プラス歩合給」とか「自由出勤、学歴不問、固定プラス歩合100万円」という広告をのせていたのです。素人を集めてマンションの一室で教室を開いて特訓します。あとはいろんな名簿をつかって、数うちゃあたる式で電話をかけまくります。一度あたったら何度もしゃぶり尽くす。騙されやすい人はやはりいるのです。
 ただ、東北はだましやすいけど、九州は東北に比べるとヤミ金はやりにくいという話が紹介されています。カネを借りたら返すという常識が東北では今も生きているけど、九州ではそれが通用しないというのです。うーん、そうでもないように思うのですが・・・。
 ヤミ金の回収にあたる人間は脅し文句を並べたてるわけですが、脅して相手がビビれば、ザマァみろと気分よくなる。脅す快感を一度知ると、それは病みつきになるとあります。私も、以前、サラ金の元店長から同じ話を聞きました。家庭でムシャクシャしたことがあると、朝からガンガン回収の電話で怒鳴りまくる。そうすると、気分がすっきりするというのです。やられた方は大変なストレスを感じるのですが・・・。
 取立にあったり変な督促を受けたとき、弁護士に相談してもらえれば役に立つことが、この本にも書かれています。警察に通報したことのある客にはK、弁護士に相談したことのある客にはBなどのマークをつけて、要注意人物だとしているのです。弁護士が出てきたら上の本部にまわし、深追いはしません。警察の手入れを受けたとき、証拠隠滅のやり方を具体的に書いた危機管理マニュアルまであるそうです。
 オレオレを働く若者たちはゲーム感覚でやっていて犯罪意識は薄く、割のいいアルバイト、ちょっと危ないかなという気軽さでやっているようです。そして、彼らをつかう暴力団は90%以上をピンハネするのです。
 金持ちのジイちゃんたちから騙しとったお金をつかえば景気回復につながる。だからオレたちはいいことをしてるんだ。そう言って開き直った若者がいたそうです。初めて聞く言葉ではありません。インチキ詐欺商法の連中はいつもこのように自分を正当化します。天下の野村証券だって同じことをしてきて、あんなに大きくなったじゃないか。そう言われると、なるほどそうかもしれないと思ってしまいます。

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