弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年4月22日

追及・北海道警「裏金」疑惑

著者:北海道新聞取材班、出版社:講談社文庫
 日本の警察が「裏金」をつくっているというのは今や世間の公然たる事実だ。しかし、公金横領事件という犯罪事実のはずなのに、誰も立件しないし、刑事犯罪とはならない。それもそのはず、警察を指揮・監督する立場の検察庁も同じような「調査活動費」(調活費)疑惑をかかえているので、摘発するのに腰がひけている。マスコミは、いつも警察からネタを教えてもらうので弱い立場にある。権力にすり寄るのが昨今のマスコミの悲しい性(さが)なので、なおさらのこと。そこを敢然と「道新」(どうしん)は乗りこえてしまった。
 この本を読むと、高橋はるみ知事の不甲斐なさ、共産党のみが孤軍奮闘しても道議会が動かないというじれったさを、つくづく感じる。民主党って、自民党とまったく同じなんだね。そう言えば「野党」と呼んでほしくないって言ってたっけ・・・。
 でも、真面目な警察官は、きっと怒っていると思う。福岡県警はどうなっているのだろう・・・。『うたう警察官』(角川春樹事務所)は、この本を推理小説に仕立てあげたような本。どちらも面白いけれど、読んでいるとムラムラと腹が立ってくる本でもある。それが嫌になるけれど、目をそむけるわけにもいかない。あー、いやだ、いやだ。これは寅さん映画に出てくるタコ社長の口癖だったかな・・・。

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