弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年1月28日

私のサウンド・オブ・ミュージック

著者:アガーテ・フォン・トラップ、出版社:東洋書林
 映画「サウンド・オブ・ミュージック」の完全リメイク版を東京・銀座の映画館で見ることができました。大画面一杯にオーストリアの山並みと草原が広がり、ジュリー・アンドリュースがギターをもって歌い踊ります。昔みたなつかしい心象風景を思い出し、胸が熱くなりました。DVDを買って自宅でも見たのですが、やっぱり映画は映画館の大スクリーンで見るのが一番です。感動のスケールが断然違います。
 ところで、この本は映画のモデルとなったトラップ・ファミリー合唱団の長女が語る実際の話です。やっぱり、実際の話は映画とはかなり異なることが分かります。子どもたちがみな歌をうまくうたえたのは、死別した母親のもとで音楽にみちた暮らしをしていたからなのです。家庭教師(マリア)が来てはじめて歌をうたいだしたのではありません。
 マリアが修道院で品行方正とは言えず、階段の手すりをすべりおりたり、廊下でうたったり、口笛を吹いたり、お祈りに遅刻したのは事実のようです。そして、マリアは社会主義思想の持ち主だったそうです。父親が子どもたちを笛で呼ぶシーンがありますが、あれは事実でした。ただそれは、住んでいた邸宅が広いからでした。映画とちがって、父親はとても優しいパパだったと、長女である著者はしきりに強調しています。
 ナチスから脱出するときには、山登りなどせず、歩いて駅に向かい、列車に乗って北イタリアに行きました。脱出のラスト・チャンスのころでした。それからイギリス、そしてアメリカに渡り、生活費を稼ぐためにファミリー合唱団をはじめたということです。
 また、「サウンド・オブ・ミュージック」を見てみたくなりました。

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