弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年1月13日

ギャンブル依存とたたかう

著者:帚木蓬生、出版社:新潮社
 朝夕の通勤時にパチンコ店の前を通ります。夕方は、いつも駐車場は満杯です。日曜日は朝のうちから満杯になっているように見えます。日本人って、どうしてこんなにパチンコが好きなのでしょう。昼間は飛行船のように大きいアドバルーンがあがっていますし、夜になるとサーチライトが探照灯のように夜空を怪しく動いています。
 いま日本にはアルコール依存症が400万人、自己破産者が年間24万人。これから考えると、ギャンブル依存症は少なくとも200万人はいる。そして、その周囲には、ギャンブル依存者によって苦しめられ、悩まされる家族・親類・友人・知人が何倍もいる。
 パチンコ人口は2000万人、パチンコ店は1万6000軒。パチンコ業界の年商は30兆円。
 プロのギャンブラーとギャンブル依存者は決定的に異なる。ギャンブル依存者は耐性がないので、丸裸になりがち。思考が硬直し、反省がなくなる。そして引き際を知らない。
 ギャンブル依存者の男女比率は7対3。ただし、依存症にまで至る期間は、女性の方が短い。男性は、刺激ほしさに、冒険心、スリルなど感覚的なものにつき動かされる傾向にある。女性は、寂しさ、退屈、現実からの逃避など、気分に左右されてギャンブルに走る。
 ギャンブル依存症の正式病名は「病的賭博」。ギャンブル依存症は、アルコール依存症と同じで、慢性で進行性の疾患であり、放置すれば後戻りすることなく、重篤になっていく。
 依存症の主治医は患者本人。誘惑にうちかつには、抽象的な意思に頼らず、誘惑にブレーキをかける行動を習慣化するしかない。入院治療は、あくまできっかけつくりであって、本当の治療は退院後から始まる。しかも、その先は長々と短く、気の抜けない道程である。今日一日ギャンブルをやめる。それだけを肝に銘じて生きていくしかない。どんなに長くやめ続けていても、崖っぷちに立っていることには変わりはない。
 一生治らない、しかし、一生回復への道をすすみ続けることはできる。
 解決できない病気ではない。そのことがよく分かる本でした。

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