弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年12月28日

D・DAY、史上最大の作戦の記録

著者:ウィル・ファウラー、出版社:原書房
 今から60年前、1944年6月5日夜10時に200万の連合軍がフランスをめざしてイギリスを出発、6月6日になったとたんDデーは始まった。
 映画『史上最大の作戦』を見たのは、高校生のときだったと思う。この本は、Dデーの動きを図解しながら解説してくれるので、連合軍の行動の全体像をつかむことができる。連合軍のアイゼンハワー司令官は54歳。ヒトラーは55歳だった。今の私とほとんど同じ年齢だ。そんな年頃の男が片や大虐殺の張本人、片や200万人の軍隊の総司令官。
 ドイツ軍の沿岸防御施設の建設状況について、連合軍は駐ベルリンの日本大使館の日本本国への報告無線によって知っていた。日本の暗号は解読ずみだった。その意味で、日本はドイツ軍の敗戦を促進したわけだ。
 映画に、海面を艦船が埋め尽くすシーンがあった。ドイツ兵が砲台からその光景を見て息を呑む情景だ。実際、この日、軍艦1213隻、揚陸艦と上陸用船艇4126隻、補助艦艇736隻、商船864隻が参加した。7000隻もの船で海上はあふれていたことになる。そして空には1万機以上の飛行機と3500機のグライダーが出動した。空もまた、連合軍によって覆われた。
 最近のアメリカ映画『プライベート・ライアン』は、このノルマンディー上陸作戦の悲惨な実情をよく描いて評判だった。従軍司祭の次のような言葉が紹介されている。
 瀕死の兵士のところに行って、あなたはもうすぐ死ぬのですと告げる。すると相手は軽くうなずく。相手がローマ・カトリック教徒なら、塗油を施す。以上全部を機械的に1人2秒のペースでやった・・・。うーん、戦争とは、こんなにむごいものなんだ・・・。

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