弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年12月28日

高崎山のオスザルたち

著者:松井猛、出版社:西日本新聞社
 中学生のとき、修学旅行で高崎山に行ったときのことです。エサをやりました。まず近くの猿にやったので、次ぎに遠くにいる猿にエサをやろうとしたら、目の前の猿が怒り、私の手をとって手首にガブリと噛みつきました。猿の心理が全然分かっていないことを身をもって体験させられたわけです。
 最近の研究では、ボスザルはいないことが判明しています。この本でも、そのことをふまえています。ただし、日本人に長くボスザルがいると思わせてきたことから、言葉としては使っています。
 争いや体格の大小は関係なく、群れの中で一番長く暮らすオスが一位である。ボスザル(アルファオス)は、仲間を支配したり、命令したり、統率することはなく、お互いが頼る、頼られる関係である。ニホンザルの群れにリーダー的な役割をするオスはいない。
 ニホンザルの寿命はおよそ25年。メスの最高齢は37歳。これは人間の115歳に相当する。やはり、サルの世界もメスがオスより長生きするみたいですね。
 オスは生殖可能となる4歳ころに出生した群れを離れる。近親交配を避けるため別の群れのメスを求めて、新参者としてスタートする。ところが、群れが大きくなると、近親交配の危険性が薄れてきたのか、群れを出ていかない若オスが出てきた。
 アルファオスになるのは最年少で9歳。20歳すぎた老年のサルがなることも珍しくはない。のんびり過ごしているように見えるサル社会にも人間のようなストレスはある。とくに群れの周辺部にいた若オスが順位を上げて群れの中心部に移った時期は、口うるさいメスや威張りちらす上位オスへの気苦労で、結構、大変のようだ。
 アルファオスが、ある日突然に群れを抜け出し、別の敵対していた群れに入りこむことがあるそうです。まったく新参者として下位からスタートすることになります。どうして、そんなことをするのか不思議でなりません。

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