弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年12月28日

9歳の人生

著者:ウィ・ギチョル、出版社:河出書房新社
 ソウルの山の手(実は急勾配の傾斜面)にある貧民街に育つ9歳の少年が過ごす日常生活が描かれています。韓国で130万部売れたベストセラーで、映画にもなっています。来年には日本でも公開される予定です。
 韓国映画『おばあちゃんの家』を見ましたが、ちょっと似た感じの映画になるという気がします。ほのぼのとなるというより、むしろ9歳にしても早くも人生の悲哀を感じさせられ、かといって元気を喪うというわけでもない。そんなストーリーです。
 貧民街に勉強を教えに行く大学生のサークル活動が存在していたことが、訳者あとがきに紹介されています。私が大学生のころに所属していたセツルメント子ども会と同じです。なつかしく思い出しました。
 子どもは多感です。決して純真無垢という存在ではありません。しかし、愛情に飢えている子どももたくさんいるのが現実です。忘れかけていた子どものときの心を、しばし思い出させてくれる、いい雰囲気の本でした。

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