弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年8月 1日

インドのソフトウェア産業

著者:小嶋眞、出版社:東洋経済新報社
 いま日本のIT技術者は30万人が不足していて、来年になると40万人から50万人が不足する見込みです。ところが、日本では工学部レベルの基礎的な学習基盤が十分でなく、ITスペシャリストやプロジェクト・マネージャーなどの高度な人材の不足がとくに深刻です。その原因は、学生のときにコンピューター工学やシステム工業を専門に学んだ人材が意外に少ないことにあります。
 ところが、インドでは理工系学生が毎年77万人も卒業するうえ、たとえばインド工科大学(IIT)には1学年2500人の定員に10数万人の受験者があり、競争倍率は50倍以上。しかも、試験は英語です。そこでインドでは、毎年、英語力をもつIT技術者が12万人ずつうまれています。アメリカにインド人IT技術者が大量に進出していますから、日本もインド人IT技術者の大量活用を考えるしかないようです。
 インド人は抽象的な思索に卓越した能力をもつ民族と言われています。インドの全人口の35%が今も非識字者というほどの高率なのですが、大学生の数ではアメリカに次いで世界第2位というのがインドなのです。IT世界におけるインドの実力を垣間見た思いがしました。

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