弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年6月 1日

炭鉱町に咲いた原貢野球

著者:澤宮優、出版社:現代書館
 1965年8月。私の高校2年生の夏のことでした。甲子園に初出場した三池工業高校ナインが、あれよあれよというみるまに勝ちすすんで、決勝戦へ進出し、なんと優勝してしまったのです。当時の人口21万人を上まわる35万人が三池工ナインを歓迎すべく大牟田の街道を埋め尽くしました。
  実は、わが生家は、その三池工業高校のすぐ前にあり、小売酒屋を営んでいたのです。8月25日は、黒山の人だかりのため、まったく身動きとれない状況だったことしか記憶に残っていません。
  その優勝に至る試合の経過が刻明に再現されています。当時の選手たちにもインタビューして、何が起きたのか複眼的に後追いすることができます。ところどころに三池争議のことなども紹介されていて、大牟田市民にとっての意義も語られていますから、さらに認識が深まります。それにしても、圧倒的な熱気でした。あのような感動を味わうことはもはやできないことでしょう。

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