弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年5月 1日

新聞社の欺瞞商法

著者:サワダオサム、出版社:リム出版社
 新聞は毎朝、自宅のポストに配達されるもの。日本では、これがまったく当たり前です。でも、欧米では必ずしもそうではありません。そこでは、新聞は駅のキオスクに行って買い求めるものです。しかし、日本でも新聞を読んで(購読して)いる人は、インターネットの普及もあって、どんどん減っていると言います。全国紙は、ものすごく威張っています。自分たちこそ世の中を支えているかのようなプライドにあふれています。しかし、本当にそうでしょうか?
 アテネ・オリンピックに高橋尚子選手が出場できなかったことを一面トップに載せましたが、スペインの総選挙でイラク派兵に反対した首相が誕生するというニュースは軽い扱いでした。私は、えっ、なぜ、と驚きました。自衛隊のイラク派兵反対の集会やデモについても、何千人も集まっても無視します。警察の裏金操作についても、一面トップでとりあげることは絶対にしません。せいぜい3面のトップ記事でしかありません。イラクの人々が本当は何を求めているのか、についても報道しようとはしません。日本のマスコミはタブーが多すぎます。
 そんな新聞が、社会の木鐸と自称しつつ、販売店は「押し紙」という過剰部数を押しつけています。『押し紙』(同時代社)とあわせて、この本を読むと、全国紙のひどい部数操作がよく分かります。公称部数の4割近くが、販売店に押しつけられたりする「過剰部数」だといいます。しかし、広告料は、あくまで公称部数でもらいますから、「過剰部数」であっても採算は合うといいます。ひどい話です。日本のジャーナリズムの底の浅さが知れる本です。

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