弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年5月 1日

私とキャリアが外務省を腐らせました

著者:小林祐武、出版社:講談社
 外務省で長年、裏金づくりの仕事をしていたノンキャリア組の著者が逮捕され、有罪判決を受けて、何をしていたのかをかなりあけすけに告白した本です。もっとひどいことがあったんだろうなと思わせます。しかし、残念なことにキャリア組の「犯罪」を糾弾するまでには至っていません。ここで糾弾されているのは、外務省をやめて日本の対米追従の外交政策を厳しく糾弾している前レバノン大使・天木直人氏です。なるほど天木氏の金銭感覚や選民思想は大いに疑問と思いますが、ではエリートコースに乗っている主流のキャリア組の方はどうなの?とつい思ってしまいます。それにしても、外務省の裏ガネづくりの実態と、内閣官房の裏ガネの運用状況には驚きというより怒りを覚えます。なにしろ月1億円というお金が、領主書もなしに闇から闇へ処理されていく世界なのです。政治は汚い、とよく言われますが、すべては税金なのです。投票率が60%を下まわるという国民の政治への無関心がそれを許しているのかと思うと、改めて怒りを投票行動に結実させなくてはと私は思いました。

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