弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年1月 1日

アメリカ特殊部隊

著者:トム・クランシー、出版社:原書房
 アメリカの特殊部隊がいかに全世界で活躍しているかを、その最高司令官だった人物が語った本。パナマに侵攻して、ノリエガ将軍を捕まえるまでの経過も具体的に描かれている。そこでは、それぞれの国に主権があることはまったく度外視されていて、読む人に寒気を感じさせる。アメリカからみた「極悪人」をどこまでも追いかけてつかまえるのが特殊部隊の役割だ。イラクのフセイン元大統領をつかまえたのも特殊部隊だという。
 といっても、イラク湾岸戦争では、ヘリコプターで奥地深く侵攻していったところ、村民から見つかり、危うく全滅しそうになった状況も描かれている。やはり、民心をつかむことなしに戦争で本当に勝つことはできない。優秀な武器によって大量の人を殺すことはできても、それで人の心をつかむことはできないのだ。
 核爆発に匹敵する効果をもつというデージーカッターを利用したときの経過も紹介されている。当然とはいえ、殺される側の視点がまったく欠落しているのが本当に恐ろしい。
 イラクへの自衛隊を派遣して、ついに日本人も殺し、殺される事態を迎える。こんな政治は明らかに間違っている。

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