弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年1月 1日

いい加減よい加減

著者:野村万之丞、出版社:アクセス・パブリッシング
 学習院高等科で浩宮と同級生だった著者は暴走族に走り、酒、タバコ、女、シンナーまでやっていたという。それは、狂言師をやらなければいけないという「宿命的カルマ」から逃れる唯一の手っとり早い逃避方法だった。浩宮から「キミとボクは同じ運命なんだね」とも言われた。親の家業が子どもにプレッシャーになるというのは、私自身も体験しました。しかし、こればかりは子どもに親を選択する権利がない以上、仕方がないことで、子どもはそれを乗り越えるしかないのです。
 「おはようございます」という言葉は歌舞伎の言葉で、能や狂言では決して言わない。「おつかれさま」は落語家の世界の言葉。狂言の世界では「御首尾(おんしゅび)よお」という。ただし、これは先輩が後輩に言う言葉。
 「ごちそうさま」というのは、タダで料理をいただいたときの返礼の挨拶言葉。だから、レストランで食事のあと支払いをして「ごちそうさま」とマスターや店員に言うのは間違い。「うまかったよ」とか「また来るよ」と言えばいい。おごってくれた人に対してのみ「ごちそうさま」と言うべき。
 狂言師の著者は、ほとよい加減の大切さを強調しています。

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