弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年12月 1日

日本の阿片王

著者:倉橋正直、出版社:共栄書房
 戦前、ケシの栽培と普及に一生をかけ、日本だけでなく、中国・台湾・朝鮮にまで渡って指導していた1人の日本人がいた。その名を二反長音藏(にたんちょう・おとぞう)という。この本は、日中戦争と阿片の関係を見事に解明している。
 100万の大軍を8年もの間、中国大陸に派遣し続けることは、日本の歴史はじまって以来の未曾有の大事業であった。それに要する費用は、当然、莫大なものとなり、日本にとって予想外の負担であった。日中戦争の本質は、まさに「片手に剣、片手に阿片」による侵略戦争であった。阿片政策がなければ、8年もの長期間、100万の大軍を中国大陸に派遣し続けることなどとうてい不可能であった。すなわち、日中戦争を裏方の財政面で支えていたのは阿片政策であった。阿片を吸うという中国民族の弱点に食らいつき、骨までしゃぶり尽くす。これが日本の阿片政策の真髄だった。1930年代、日本は、モルヒネ・ヘロイン・コカインの生産では、ダントツの世界第一位だった。世の中、本当に知らないことだらけですね・・・。

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