弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年11月 1日

ベトナム症候群

著者:松岡完、出版社:中公新書
 アメリカは1975年のベトナム撤退に至るベトナム戦争での苦い敗戦(戦死者5万8千人)の後遺症を今に引きずっていると言われています。
 クリントンもブッシュも団塊の世代ですが、いずれもベトナム戦争をうまく逃れています。このこと自体がアメリカでは強く批判されてきました。
 アメリカで軍隊は大衆の支持を受けている。しかし、同時に反軍感情もアメリカの伝統である。アメリカ軍将校に対する国民の評価は銀行強盗よりましという程度だった。この本にはそう書かれています。うひゃー、そうだったのか・・・。
 ベトナム戦争への徴兵に従わなかった者は57万人、うち起訴された者は2万5000人、有罪判決を受けた者は9000人。実際に処罰されたのは3000人。そんなに徴兵逃れした者がいたのか・・・。豊かな家庭の子どもほど戦場に行かずにすんだんだ・・・。
 戦争体験のない者ほど好戦的だというのは本当のように思います。イラク戦争のときもそうでした。日本でも、自民党の主戦論者は40代の若手に多く、かえって戦争体験のある後藤田氏や野中氏は平和憲法を忘れるなと叫んでいます。
 イラクに自衛隊を派遣して、イラクの人々を殺したり、日本人が殺されたりする危険が迫っています。なんとかしてやめさせたいと歯ぎしりする思いです。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー