弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年7月 1日

こんなにおもしろい弁護士の仕事

出版社:中央経済社
 年間売上1億円という東京の弁護士(千原曜、41期、42歳)による弁護士の実情を紹介した本です。地方の弁護士について、次のような不正確と思われる記述があります。たとえば、大都市の弁護士のように毎日、朝から晩まで働く必要がない。相手方につく弁護士は多くの場合に顔なじみなので、徹底的に追いこむことはしない。
 だから和解成立はスムースで気楽な場合が多い。刺激に乏しい反面、ストレスも少ない。などなど・・・。
 しかし、千原弁護士の裁判所が大企業や官庁など社会的な強者に大変弱いこと、高裁が非常に独善的で好き勝手に訴訟進行しているなどの指摘は、同じ弁護士として大いに共感できます。福岡高裁もひどいものだと私は、いつも嘆いています。
 また、横領事件の多さに千原弁護士は驚いていますが、私も、弁護士になってもっとも驚いたことの一つが、世の中では業務上横領がまさに日常茶飯事だということです。
 この本を読みながら、私たちはもっともっと地方の弁護士にも知的刺激の大きい仕事はあること、地方では人権救済の要請が大都会以上に強いことを学生(法科大学院生)や司法修習生に訴えていかなければいけないと痛感しました。

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