弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年8月17日

タコの知性

生物(タコ)


(霧山昴)
著者 池田 護 、 出版 朝日新書

ええっ、タコに知性があるだなんて、アホじゃないの...。思わず、そう叫びたくなります。でも、本当にタコは思いのほか賢いようなのです。
タコは、実はハイレベルな学習をやってのける海底の賢者なのだ。
タコの世界的な輸出国は、中国とモロッコ。タコは全世界の海に生息している。世界的なタコとイカの輸入国は、日本、アメリカ、スペインそしてイタリア。
漁獲量はイカが圧倒的に多く、タコは1割ほどでしかない。イカは比較的浅いところを集団で行動しているが、タコは集団をつくらない。
250種のタコが全世界の海洋に分布している、
タコは、近い親戚筋のイカ、オウムガイそしてアンモナイトと一緒に頭足(とうそく)網(こう)というグループに入っている。
タコは8本の腕をもち、イカは10本の腕をもつ。「タコハチ、イカジュウ」と覚える。
タコは色が見えず、色覚を欠いた動物だ。しかし、タコ自身は色彩の使い手。
ミミックオクトパスは、複数のモデル種に化けることができる。パッとミノカサゴになり、次はパッとウミヘビになる。
タコは、色彩をベースとしたボディパターンでコミュニケーションをとる。
タコの寿命は1年ほど。長くて2年を少しこえるくらい。タコは繁殖したら最後、それで死亡する。これはイカも同じ。タコの腕の中には骨がない。
タコは観察学習する。隣のタコのやっていることを真似る。タコは道具を使う。
タコは人間に熱い視線を送る。タコは腕で考える。
麻薬を摂取すると、タコもハイになる。
タコが怒ると、たとえば体表のリング模様をギラギラと点滅させる。まずいエサを与えられると、怒って水中から投げつけて返す。タコの身体の色彩の変化は表情を示しているのだ。
タコの地道な研究の面白さが伝わってくる本でした。
(2020年4月刊。810円+税)

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