弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年3月 6日

イージス・アショアの争点

社会


(霧山昴)
著者 荻野 晃也・前田 哲男ほか 、 出版  緑風出版

イージス・アショアって、そもそも何なの...、どうしてそんな高価なものを秋田と山口・萩の二ヶ所に置くの...、それって本当に日本を守るために必要なものなの...、誰から攻撃されるっていうの...。そんな疑問に多面的に答えた本です。
秋田市と山口県の萩市・阿武町の2ヶ所にイージス・アショア基地を設置するという話は2017年に突如として降って湧いた。安倍首相の選挙区は山口県、菅官房長官は秋田県出身。これって本当に偶然のことだろうか...。
イージス戦闘システムは、その本質は強力な攻撃兵器である。
海上にイージス艦を8隻も浮かべておきながら、地上配備型のイージス・アショアを秋田と山口の2ヶ所に置くという。
防衛省は、1990年代後半まで、日本に向けて発射された北朝鮮の弾道ミサイルに対して海上のイージス艦が対処し、次にパトリオットミサイルPAC・3が対応する二段構えで、「万全の構え」をとっていると説明してきた。だったら、さらに地上型は不要のはずなのに...。
2017年8月、日本政府はトランプ政権の要請にこたえてイージス・アショアの導入を決めて発表した。このときは1基800億円とされた。ところが、12月の閣議決定の時点では1基1000億円と修正され、さらに翌18年7月に1基1340億円と再修正された。
なぜ、秋田と山口の萩なのか...。
実はアメリカ軍の軍事拠点であるグアムとハワイを防衛するためであることが地図の上で明らかになった。秋田と山口は、アメリカ本土を北朝鮮のミサイル攻撃から防衛するための人身御供(ひとみごくう)なのだ。
そうすると、北朝鮮からも中国・ロシアからも攻撃目標(標的)にされる危険がある。標的にならなくても、イージス基地から迎撃ミサイルを発射したとき、爆炎が周辺に及び、またブースター(補助推進ロケット)が周辺に落下する。
そして、イージス・アショアからは強力な電磁波がふりまかれる、電磁波は人間の生殖への悪影響を及ぼす心配がある。生殖だけでなく、人間の脳にも悪い影響を与えることも最近心配されている。さらに、発ガン性も心配されはじめた。
結局、イージス・アショアを日本の地上に2基も設置すると、8429億円の費用がかかると見込まれている。どんどんふくらんでいる。
アベ政治は、こんなアメリカと軍事産業だけを利する、不要不急の軍事には惜しみなくお金をつぎこむ一方、コロナ新型ウィルスにはわずかなお金しかつぎこもうとしません。まさしく本末転倒の政治です。もう、そろそろやめましょうよ...、こんなデタラメ政治は。
(2019年11月刊。2000円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー