弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年2月21日

超孤独死社会

社会


(霧山昴)
著者 菅野 久美子 、 出版  毎日新聞出版

このところ、孤独死による相談、事件処理の依頼を立て続けに何件も受けました。
市営住宅だと数日のうちに発見されますが、マンションだと何週間か分からないことがあるようです。一軒家の老女の場合には4ヶ月後に白骨死体として発見されました。
たいていは相続放棄の相談です。特殊清掃費用や葬儀費用など50万円ほどを個人の遺産(預金)から支払っていいかと質問され、「問題ありません」と回答します。それは社会生活を営むうえでの必要経費みたいなもので、相続人の利得になるわけではないからです。
ところが、なかには数千万円の預金があったりします。その場合、相続人を調べて遺産分割手続にすすみます。弁護士も手数料をいただきます。
日本では現在1000万人が孤立状態にある。
孤独死とは、家でたった1人、誰にも看取られずに亡くなること。その8割がゴミ屋敷や不摂生などのセルフネグレクト。この自己放任は、「緩やかな自殺」とも言われている。
孤独死は年間3万人といわれているが、実はその数倍もあるとみられている。
孤独死の4件のうち3件は男性。女性は人間関係を作るのがうまいから。
孤独死する人は、寝床から玄関先までの動線で死んでいることが多い。孤独死は、苦しみの中で助けを求めて亡くなる人が多い。
孤独死の遺体と部屋の片付けをするのが特殊清掃だ。30万円とか60万円ですることもあるが100万円以上になることもある。そのとき、業者によっては100万円のところを200万円と吹っかけることもあると、この本は書いています。700万円とかいうケースもあるといいます。そして、親族が清掃費用を払わずに逃げて業者を、泣かせるケースまで紹介されています。
特殊清掃の業界団体「事件現場特殊清掃センター」には5000社が加入している。民間資格である「事件現場特殊清掃士」の認定制度は2013年に始まり、5年間で15倍に増えた。
ゴミ屋敷の住人は孤独死するケースが圧倒的に多い。ゴミ屋敷に住んでいる人は、ゴミをゴミとは思っていない。ゴミではなく、すべてが宝物なのだ。
東京・足立区では、家主に支払い能力がないと認めたら、100万円まで区がゴミの撤去費用を負担する。なるほど、今では必要な制度だと思います。公益性が認められます。
特殊清掃人は感染症を恐れる。だから、防護服は欠かせない。
特殊清掃で必要なことは、まず一刻も早く、汚染箇所の臭いをとること。そのためオゾン脱臭機を活用する。業務で使用した服は必ず2回は洗濯機を回す。1回では臭いがなかなか取れない。シャワーを浴びて、臭いの残りやすい鼻の穴の中まで洗浄したあと、ようやく食事する。
スマホやラインの活用、そして郵便局による見守りサービスというのがあるのも知りました。
ますます増えていくのが必至の孤独死について深く状況認識することができました。
(2019年6月刊。1600円+税)

帰宅すると大型の封筒が届いていました。えっ、合格していたの・・・。信じられない思いで開封して、準一級の合格証書を手にしました。採点結果の通知も同封されていて、26点とっていたのです(合格基準点は23点)。きっと、これは試験管がなじみの受験者である私に、ゲタをはかせてくれたのだと思います。まあ、それでも率直に言ってうれしかったです。フランス語の勉強を続けていて良かったと思いました。きっときっと、がんばって続けなさいよという励ましの合格点なんだと思います。
これで準一級の合格証書は9枚になりました。1枚目は2009年です。毎朝のNHKフランス語応用編の書きとりを引き続きがんばるつもりです。

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