弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年11月11日

精霊の踊る森


(霧山昴)
著者 嶋田 忠 、 出版  講談社

私は『ダーウィンが来た』を欠かさずみています。ふだんテレビはまったくみませんが、この番組だけは録画したものを週1回、寝る前にみています。世界各地の生き物たちの驚くべき映像に接して、大自然の営みの豊かさを実感させられます。
この写真集も『ダーウィンが来た』で紹介された鳥たちを見事に切り取っていて感動そのものです。
極楽鳥と庭師鳥について、「進化しすぎた鳥たち」と評されていますが、なるほどすごい色と形、そして求愛ダンスと愛の巣づくりのすばらしさに、ただただ圧倒されて声も出ません。
タンビカンザシフウチョウの求愛ダンスで示す色と形は神秘そのものです。誰が一体こんなデザインを考えついたのでしょうか、不思議でなりません。
カンムリニクシドリは、高さ2メートルにもなる求愛用のアズマヤのタワーを森の中に築き上げます。
オウゴンチョウモドキでは、若鳥たちは成鳥オスに見習って踊りを練習します。成鳥になるのに5年もかかり、その間、一生けん命に成長オスの踊りを見て学ぶのです。
真紅の円形の頭に白い目に黒い瞳がじっとこちらを見すえている写真が表紙を飾ります。ド迫力です。
写真をとった人は、私と同じ団塊世代(1949年生)。ニューギニア島に通い続けているのです。パプアニューギニアでは、今も昔ながらの原始的な生活をしている人々がいるようです。祭りのときには極彩色に顔と身体を飾りたてます。まるで鳥たちと競いあうようです。
極楽鳥の求愛ダンスは日の出前後にあるので、日の出前の暗いうちに機材をかついて森の中に入り、撮影用の特製テント(ブラインド)に入って、じっと待つのです。なんと5日目に決定的瞬間の撮影に成功したといいます。テントのなかに隠れてじっと音も立てずに待ち続けるのです。大変な根気のいる仕事です。おかげで居ながらにして、こんな素晴らしい写真を拝むことができます。ありがたいことです。
手にとって一見する価値が十分にある写真集です。3600円が高いと思う人は、ぜひ図書館に注文して手にしてみて下さい。世界観が大きく変わること間違いありません。
世界は生命の神秘にみちみちていることを実感させられます。ぜひぜひ後世にそのまま残したいものです。
(2019年7月刊。3600円+税)

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