弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年11月 8日

ルポ・トランプ王国 2

アメリカ


(霧山昴)
著者 金成 隆一 、 出版  岩波新書

世界中に紛争のネタをばらまき、あおりたてているのがアメリカのトランプ大統領ですが、その支持者からの支持は依然として衰えていないようで、心配でたまりません。
私がトランプ大統領のやったことで唯一評価しているのは、北朝鮮の金正恩委員長との2回の直談判です。この会談が続く限り、北朝鮮は無茶しない(できない)と思うからです。
この本は、アメリカのトランプ支持者たちの本音を取材してまわった貴重なレポートです。
トランプ支持者は、トランプが職を保障すると公約したことに拍手喝采です。
ジョブ(仕事)。この町にジョブを戻してほしい。これがトランプ支持者の最大の切なる願いです。
トランプは、選挙戦において、「家を売らないで下さい。私たちが家の評価を上げます」と叫んで、公約とした。もちろん、そんなこと、ジョブの確保が簡単にできるはずもない。しかし、人々は、束の間の夢に心地よく浸ったのだ。トランプが約束の1割でもやってくれたら十分だと彼らは考える。
もう一つは、トランプがこれまでとは毛色のちがった政治家であり、ビジネスマンだということを評価している人たち。
政治家なんて、みなデタラメなことを言う人間ばかりだ。トランプもその一人だろう。しかし、トランプは楽しい。トランプは面白い。いかにも個性的だ。
この本を読むと、ヒラリー・クリントンを嫌いだというアメリカ人が少なくないことを実感させられます。
トランプは、大統領になって2年経過しているが、毎日のように誰かを攻撃し、精神の不安定さを露呈している。
アメリカで誰がトランプ大統領を支持しているのか、これを知り、その理由まで掘り下げている本書は、貴重なルポルタージュです。
(2019年9月刊。940円+税)

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