弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年10月 7日

恐竜の世界史

恐竜


(霧山昴)
著者 スティーブ・ブルサッテ 、 出版  みすず書房

福井県にある恐竜博物館は、遠くからはるばる行くだけの価値があります。
残念なことに、私はまだ天草の恐竜博物館には行っていません。ぜひ一度行ってみたいと思います。そして、北海道のムカワリュウの全身骨格復元の実物も拝みたいものです。
恐竜の本が出たとなれば、見逃すわけにはいきません。かの小林快次センセイ(北大教授)のおすみつきとあれば、これは読まなくてはいけません。
1億年以上も続いた恐竜の時代、地球上には一つの大陸、パンゲア大陸しかなかったというのを初めて認識しました。アフリカも南北アメリカ大陸も、みんなひとかたまりだった時期から恐竜はいたのです。もちろん、それらの大陸は、やがて離れていき、今のようになりました。
そして、気候と気温についても、今のような温暖な気候の下で恐竜がずっといたわけではないようなんです。ええっ、そ、そうだったの・・・、と驚いてしまいました。
さらに、今や新種の恐竜が週に1度のペースで発見されていて、毎年50種ずつ新しい恐竜が見つかっている。うっそー、うそでしょ。そう叫びたくなります。
エオラプトルなど初期の恐竜が活動していた2億4000万年前から2億3000万年前のころ、現在の諸大陸はなかった。あったのは、「超大陸」(パンゲア)と呼びひとつながりの広大な陸地。
そして、最初期の恐竜はサウナにすんでいたようなもの。三畳紀の地球は、現在よりはるかに暑かった。大気中の二酸化炭素濃度は今より高かった。
最初期の恐竜は、湿潤地帯に目立たないように引っ込んだ存在だった。負け犬と言ってよいほど。ところが、ジュラ紀になると恐竜は多様化し、多種多様な新種が次々に生まれていった。
肉食恐竜T・レックスは、速く走ることだけは出来なかった。なぜか・・・。そして、このT・レックスは世界的な恐竜ではなく、北アメリカ、その西部に限られていた。
鳥は、1億6000万年以上に及んだ恐竜の治世のなごりである。鳥は恐竜なのである。
恐竜の絶滅が唐突におきたことは、疑いようがない。1億年以上も繁栄を謳歌していた恐竜が、数千年間の、あっというまに絶滅してしまった。
小惑星は飛来しなければ、恐竜も絶滅しなかった。恐竜の帝国は滅びてしまったが、恐竜は鳥として今に生きながらえている。
いやあ、恐竜について知ると、胸がワクワクしてきます。
(2019年8月刊。3500円+税)

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